感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかとう
1
この「新潮日本古典集成」シリーズは読みやすくて好き。目にやさしい文字の色や、本文の脇にちょこっと現代語訳が添えてあるところや、詳細な注釈が。『雨月物語』は有名なのでおいといて、『伊勢物語』をパロディ化して茶化している『癇癖談』(くせものがたり)も面白い。ちゃんと本文も「むかし、をとこありけり」で始まっている。流行りものに踊らされ見栄を張る人々を描き、主人公の男がモテまくるのもつまりは金次第だろと一刀両断し、どいつもこいつも茶道にカブレてやがる……と次第に内容が秋成のボヤキめいたものになっていくw2015/06/15
コカブ
1
雨月物語:「白峯」「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津の釜」「蛇性の婬」「青頭巾」「貧富」。基本的に怪奇を扱った短編小説だったが、あまり怖くない。舞台が日本各地に散在し、「白峰」は香川県坂出市の白峰寺すぐそばにある白峰御陵という崇徳天皇の御陵が舞台だった。うっそうとした場所で何かありそうな雰囲気ではあったが、崇徳天皇が幽霊になって出てくると言われると、さもありなんと思ってしまう。 癇癖談:風刺小説。2010/02/28
山猫
0
物語自体は40年ぶりかな? どの話も懐かしい。
ばやしこ
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とりあえず『雨月物語』だけ読了。「怪談の古典」というだけあって、今日でも怪談のシチュエーションとして語られる場面は多いものの、それが古い文体で描かれると、どうしてこうもぞくぞくして魅力的なのか。上田秋成の自論が散りばめられていても、それもいわゆる昔話の教訓的なもの。『癇癖談』は断念。2011/02/04
タロウ
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菊花の契りのように命をかけてまで約束を守ることは大切だろう。また、良いことをしているのに恵まれない顔回と、悪いことをしているのに恵まれている盗っ人の運命を、仏説は前世の行いが今世に現れると説明した。それに対して、貧富論の金の化身が、前世と今世で人の性質がそんなに変わる訳はない、今世で良いことをしている人は前世でも良いことをしてきたはずだし、仏説はおかしいと対抗したところは考えさせられた。癇癖物語は江戸時代の風物がよくわかった。2021/02/20