新潮新書<br> 美術展の不都合な真実

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新潮新書
美術展の不都合な真実

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784106108617
  • NDC分類 706.9
  • Cコード C0271

出版社内容情報

入場するのに大行列、一瞬だけ見る「屈指の名画」、お土産ショップへ強制入場――。本当に観るべき展示を見極めるための必読ガイド。

内容説明

フェルメール、ゴッホ、モネ―屈指の名画が来日するのは、有数の芸術愛好国だから?否、マスコミが主導し、大宣伝のなか開幕する「美術展ビジネス」が大金を生むからだ。「『○○美術館展』にたいした作品は来ない」「混雑ぶりは世界トップレベル」「チケット代の利益構造」「“頂点”に立つ国立美術館・博物館」等、新聞社の事業部で美術展を企画した著者が裏事情を解説。本当に観るべき展示を見極める目を養う必読ガイド。

目次

第1章 混雑ぶりは「世界レベル」の日本式展覧会
第2章 なぜ「○○美術館展」が多いのか
第3章 入場料1700円の予算構造
第4章 明治以降の展覧会と平成型展覧会
第5章 ミュージアムとは何か
第6章 学芸員の仕事と「画壇」の存在
第7章 本当に足を運ぶべき美術館はどこか
第8章 スペクタクル化する展覧会

著者等紹介

古賀太[コガフトシ]
1961(昭和36)年福岡県生まれ。九州大学文学部卒業。国際交流基金で日本美術の海外展開、朝日新聞社で展覧会企画に携わる。2009年より日本大学芸術学部教授。専門は映画史、映像/アート・ビジネス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

350
これは本当に見たい美術展か? テレビ局の「手っ取り早い」もうけ事業の宣伝に、踊らされていないか? 良く考えて展覧会に行く参考に、もってこいの良書だった。私にも経験がある。係員が「立ち止まらないで見てください」と叫んでいる展覧会。大混雑の企画展の横で常設展はガラガラ、というのが日本ではよくある風景だ。等伯の『松林図屏風』(国宝)などこそ、東京国立博物館の常設展で並んでいる時を狙ってじっくり見たい、と強く思った。2025/04/16

旅するランナー

240
新聞社・テレビ局が海外に大金を払って○○美術館展を持ってきて、その宣伝力で遮二無二大量動員するような展覧会が本当の文化力と言えるのかと疑問を呈します。また、学芸員の雑芸員化、自治体からの天下り館長、画壇系と現代美術系の二重構造などを嘆きます。本当に足を運ぶべきは、東京国立近代美術館(竹橋)とのことです。そして、日本の美術館・博物館でも観光客が常設の目玉作品を見に行くような環境作りが必要だと主張する、ご都合主義ではない一冊です。でも、実際に美術展に行ってみないと、ハマるかどうかは分からないんですよね...2020/11/28

rico

115
4時間待ち伝説の若冲は別格として、いつの頃からか、作品に近づくこともできないほど混雑する美術展が増えた。著者は自らが仕掛ける側にいた経験に基づき、マスコミや広告業界等によってイベント化した美術展のあり方に警鐘を鳴らす。裾野が広がるのは悪いことではないけど、そればかりでは確かに、本来のミュージアムの機能がやせ細るのは見えている。このコロナ禍で、海外から多くの作品を集めた大規模展は難しくなるだろうし、入場の日時指定制をとる所も増えた。じっくり作品と向き合える、そんな美術館が増えるきっかけになってほしい。2020/06/22

trazom

106
関係者から「そこまでばらさなくても」と言われることを承知で書いたとの説明通り、美術展の裏側を垣間見れるユニークな一冊である。確かに、なぜ最近「○○美術館展」が多いのか、なぜテレビ局・新聞社が主催するか、企画展と常設展との関係、学芸員の役割、費用負担の国内外不均衡、収支のカラクリなど、普段から疑問に思うことについて、実務経験豊かな著者の説明には説得力がある。現在の歪な状況は、美術館側だけの問題ではなく、マスコミの煽動に惑わされてムードやブームで芸術作品を捕らえがちな私たちも共犯者であることを自覚させられる。2020/07/11

どんぐり

98
新聞社やテレビ局が海外の有名美術館に億単位の金を渡して企画されている「○○美術館展」。海外の美術館は丸儲けし、日本の美術館の学芸員はやる気を失い、やせ細るばかりだという。マスコミ主導で客集めが優先され、美術館には来場者の長蛇の列ができあがる。有名作品が1、2点あるだけで、あとはなんということのない美術展まである。そういう美術館展が目につくのがここ最近の傾向だ。本書は日本の美術館がディズニーランド化しているのに警鐘を鳴らす。日本の美術展の裏事情と美術館へのいくつかの提言には、なるほどと思うところがある。2020/12/22

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