出版社内容情報
藤原 正彦[フジワラ マサヒコ]
著・文・その他
内容説明
日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきた。「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。
目次
第1章 近代的合理精神の限界
第2章 「論理」だけでは世界が破綻する
第3章 自由、平等、民主主義を疑う
第4章 「情緒」と「形」の国、日本
第5章 「武士道精神」の復活を
第6章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第7章 国家の品格
著者等紹介
藤原正彦[フジワラマサヒコ]
1943(昭和18)年旧満州生まれ。東京大学理学部数学科、同大学院修士課程修了。コロラド大学助教授等を経て、お茶の水女子大学理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zero1
212
話題本を久しぶりに再読。【公立小学校での英語は日本を滅ぼす】は賛成。正式教科の道徳にプログラムなど小学校に多くを求めすぎ。まずは国語をしっかり学び計算を反復。【卑怯と武士道】を教えるのは正しいかもしれないが現代人や外国人にどう理解させる?その点を述べてほしかった。【国民は永遠に成熟しない】は諦めが早すぎる。【戦後、祖国への誇りや自信を失うよう教育され】とあり祖国愛こそ大切と説くが、一歩間違えると軍国主義に逆戻りしないか?誤解している読者もいるはず。意見により賛否両論あり。批判する目を持ちつつ読むべき本。2019/12/10
mitei
206
国際化がやたら叫ばれる中、日本の良いところも見てみようといういい本。今から見ると日本礼賛本の一冊に過ぎないが、当時は珍しい本だったなぁ。外国の人に日本の歴史は堂々と話せるようにはなりたいな。2010/01/27
absinthe
173
文学にも数学にも通じる著者の書いたユーモアたっぷりのエッセイ?・・・上から見下ろす目線でモノ申すというよりも、雑談に蘊蓄が上手に混ざっていて親しみやすく書けている。 リバタリアンのabsintheには、ハイエク派を「勤勉さを忘れて虚業に精を出す自由主義経済の人々」と総括されて悔しい気がするが、自虐的ユーモアに救われて嫌味には感じない。経済に関してはどこか誤解もありそうだが、全体に面白く読めるし、そういう見方もあったのか、と驚かされもする本。
Miyoshi Hirotaka
156
教会の権威や絶対王政を倒すうえで自由、平等、国民主権という論理は目覚ましい力を発揮した。20世紀になり、完全無欠と思えた数学にすら正しいか正しくないかを論理的に判定できない命題が存在することが発見された。論理的に得られた結論は盤石ではない。植民地主義、共産主義、市場主義などという美しい論理は大きな悲劇を生んだ。ここ四世紀間ほど世界を支配した欧米の教義は破綻を見せ始め、世界は途方に暮れている。この世界を本格的に救うには論理や合理性を万能とする考え方から、人間の賢さや知恵、国家の品格に軸足を移すことが必要。2015/01/06
徒花
153
2005年に刊行され、発行部数265万部を超えたモンスターヒット作。著者は数学者だけど、論理的な思考だけで物事を判断することに対して警鐘を鳴らしており、論理だけで構築された市場任せの資本主義に反対の立場。著者のスタンスがはっきりしている分、賛成意見と反対意見にバッチリ別れると思うが、それもヒットとなった要因なのかもしれない。個人的には「してはダメなことに理由はいらない。ダメなものはダメなのだ」という主張が、わりと腑に落ちた。論理を超えた所に立脚点を持ってこないと、よくないことが起こる……かもしれない。2020/11/12
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- 和書
- わらの人 文春文庫