出版社内容情報
日本人は島国根性ではない、なぜか？ 明治天皇の覚悟とは？ 啄木の喜び、鏡花文学の美しさ……忘れ得ぬ人びとと文化への愛惜を語る
内容説明
懐かしく誇らかな日本を語る、深い洞察に充ちた９つの講演。（１）「日本文化の国際性」「国際化時代における京都文化の役割」など、世界的視野から見た日本文化について、（２）アイヌの人々の気高さを尊んだ松浦武四郎、明治のはじめ、アメリカ・ヨーロッパ使節団が見聞したこと、そして明治天皇の覚悟について、（３）俳句・短歌など短詩型文学の魅力、石川啄木の現代性、泉鏡花の美の世界を語る。
目次
１（日本文化の国際性；文化の衝突、内なる対立；国際化時代における京都文化の役割）
２（松浦武四郎を読んでみて；明治の日本人は世界をどう見ていたか；明治天皇と日本文化）
３（日本の短詩型文学の魅力；啄木を語る―啄木の現代性；わが愛する鏡花）
著者等紹介
キーン，ドナルド［キーン，ドナルド］ ［Ｋｅｅｎｅ，Ｄｏｎａｌｄ］
１９２２年ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒、同大学教授。１９６２年、古典ならびに現代日本文学の翻訳による海外への紹介の功績により菊池寛賞。１９９８年、『日本文学の歴史』全１８巻完結等により朝日賞。２００２年、『明治天皇』により毎日出版文化賞。そのほか多数の著作により読売文学賞、日本文学大賞、全米批評家協会賞など多くの文学賞を受賞。２００８年、文化勲章受章。２０１２年、日本国籍を取得。２０１９年、逝去（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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trazom
92
キーンさんが亡くなって二年経ち、こういう講演録集が発表されるのは嬉しい。私はこの人を心から尊敬する。松浦武四郎、久米邦武、明治天皇、芭蕉、啄木などについて、キーンさんの愛情が迸る。姫路、札幌、福岡など地方での講演も収録されているが、当地の話題を中心にした内容で、周到に草稿を準備されていることがわかる。紋切り型の日本論・日本文化論ではなく、各地方の特性に応じて自説を表現できるのがキーンさんの思想の懐の深さを象徴している。広島でも長崎でも同じ挨拶を繰返す総理と違って、ここには人間としての「心の優しさ」がある。2021/08/18
美東
26
普通、黙読するときの内なる声は自分（私）の声であるのだが、よく存知あげている場合は著者自身の声となる。ドナルド・キーン先生の文章を初めて目にしたのは中学生の時でレコード芸術連載の「音盤風姿花伝」だった。その内容からして海外の著名な音楽評論家だと思い込んでいた。ずーっと後になって、ＮＨＫETV放送の「人間大学 日本の面影」（１９９２）をきくに及び、実は高名な日本研究者であることを知って驚いた。この本は先生の生前の講演を選んで活字化したものだが、文字通りキーン先生の肉声が聞こえてくる。2021/08/29
どん
5
ドナルド・キーンの初の講演集。日本の文化、歴史について3篇、明治時代に日本の方向性を固めた人物について3篇、日本文学について3篇の9篇。よくある日本は素晴らしいという論調ではなく、日本への愛情があふれるようなもので、ところどころ合意できない部分もあったが、それ以上に心に沁みる、勉強にもなる内容だった。明治天皇、松裏武四郎、石川啄木、泉鏡花などに焦点を当てた具体的な話がメインで、解りやすく興味を持ちながら読めた。。2021/09/17
SNagai
2
キーン氏の９つの講演を収めたもの。主に幕末前後の日本人一人一人に焦点を当てたものが多い。私の知らなかった人についてのものがほとんどであるが、氏の深い研究が想像できるとともに、日本、日本人に対する深い愛を感じる。2021/11/06
わきが
2
ドナルド・キーン氏の講演をまとめたもの．どの講演も日本に対して並々ならぬ愛情が伝わってくる．読んでいると日本文化をもっと知りたくなるだけでなく，外国の言葉や文化を学ぶことの重要性がわかる．ソネットと比較して俳句は作りやすいという指摘は確かになあと思った．泉鏡花を読みたくなった．2021/09/08
