出版社内容情報
その地名の由来を知っていますか? 隠された意味や歴史的変遷を探り、日本人の心の古層にまでつながる“名づけの謎”を解き明かす。
内容説明
その地名には、理由がある!太古からつづく深い「名づけの森」に分け入り、日本の地名に秘められた意味と歴史的変遷を明らかにする。日本全国の具体例を多数紹介!
目次
序章 「地名」が日本の原郷へいざなう
第1章 古層から隔絶する現代地名
第2章 再編された地名、リストラされた神様
第3章 「日本国」よりも古い地名
第4章 文字化された地名の謎
第5章 声だけのコトバの記憶
第6章 地名の呪力
終章 日本的なる風土―地名と日本人
付録 まだまだある、気になる地名たち
著者等紹介
伊東ひとみ[イトウヒトミ]
1957(昭和32)年静岡県生まれ。奈良女子大学理学部生物学科(植物学専攻)卒業。京都大学木材研究所を経て、奈良新聞社文化面記者として勤務。その後、上代文学、漢字の成り立ちを研究し、編集者から文筆家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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naginoha
45
野暮用にて地名を調べる必要が生じ図書館から借りた。借りてから気づいたが、何と再読。 読んだら興味深い本だけど、今回の野暮用にはあまり参考にならず。以下記録。「はた」前読と同様。2020/09/30
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
27
▼地名の由来についての「考え方」を考察しつつ、各地の地名を分析している。▼日本語の起源の謎、上代日本語、DNAから見た日本列島の人々…こういった事柄にまで思いを致しつつ、地名形成の歴史について考えている。▼記紀編纂以前の昔から畏れの対象とされてきたアニミズム的な神々と人々との往還から形作られた心性が、地名に染み込んでいると著者は語る。▼この本が示す考え方をもとに、身近な地名に保存された「先人の記憶」について考えを巡らせてみると、案外、正しい由来にたどり着くことができるかもわからない。 2021/11/05
雲をみるひと
23
主に縄文人の語彙と現在の地名の関係を考察した内容。記紀の解説や古代の漢字の置き換え、明治期の市町村合併といった地名変遷の影響などが丁寧に書かれていてわかりやすい。巻末の地名の分類表もよい。良本だと思う。2021/05/09
bapaksejahtera
10
誰もが関心を持つ「地名」だが、定着した地名でさえ案外近い過去に時の権力や行政の都合で改変された事実が知らされる。近時は自治体や住民によるキラキラネームに目眩ましをされる。それらを排除して古層に行き着くとしても、混沌とした世界に迷うほかはない。著者は地形に関する古くからの語彙を例に上げ、その多様な地方差を示す。表題とは裏腹に真の古層は極めて多層多様な世界である。本書も地名本の例にもれず、体系的というよりも散文的な叙述にならざるを得ない。しかし問題の周辺に横たわる様々なバイアスの提示には成功していると思う。2020/11/04
ムーミン2号
9
タイトルと内容とは一致していない。副題の「隠された「日本の古層」」の方が内容をわりと示している。要するに「地名」のルーツを探るには<隠された>「日本の古層」にまで辿っていかないとちょいと難しいかな、ということなのだ。しかし「古層」はどのあたりを指すのかは、本書によれば縄文時代ということになる。まだ文字がなかった時代だ。従って、文字が残されている文献から探っていくことが必要で、例えば「枕詞」などを参照していかなければ・・・というところで実は終わっていて、それは今後に任されているようだ。2021/12/02