出版社内容情報
オフィーリアは本当に“noble”か。ジュリエットはなぜロミオを「あなた」と呼ばないのか、マクベス夫妻の“wo”の謎とは? 新解釈満載の演劇論&翻訳論。
内容説明
坪内逍遙以来、男たちはジュリエットの娘ごころをどう訳してきたのか?マクベス夫妻の絆はいつ断ち切られたか?シェイクスピアで一番感動的な台詞とは何だろう。蒼井優の疑問に答え、松たか子の解釈に教えられ、唐沢寿明の演技に目をみはる。シェイクスピア個人全訳に取り組み、稽古場に日参する翻訳家が、演劇の魅力を深く平易に語り尽した快著。
目次
第1章 ポローニアスを鏡として―『ハムレット』
第2章 処女作はいかに書かれたか―『ヘンリー六世』三部作
第3章 シェイクスピアで一番感動的な台詞―『リア王』
第4章 男、女、言葉―『ロミオとジュリエット』『オセロー』
第5章 他愛もない喜劇の裏で―『恋の骨折り損』
第6章 日本語訳を英訳すると…―『夏の夜の夢』
第7章 嫉妬、そして信じる力―『冬物語』
第8章 言葉の劇―『マクベス』
著者等紹介
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京(長春)生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家。1996年からシェイクスピア戯曲の個人全訳に取り組み、その新訳を用いた蜷川幸雄演出による舞台上演が話題を呼んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Gotoran
50
シェイクスピア劇全ジャンル(悲劇、喜劇、歴史劇、ロマンス劇)、しかも処女作から晩年までの29作品をほんやくした著者松岡氏が、舞台稽古での俳優たちの作品への熱い思いと取組から捻出された台詞で教えられ、気付かされ、夫々の作品を深く読み込み、翻訳に生かすことができたと云う。非常に興味深かった。収録作品は、『ハムレット』『ヘンリー六世』三部作『リア王』『ロミオとジュリエット』『オセロー』『恋の骨折損』『夏の夜の夢』『冬物語』『マクベス』。既読のもの、未読のもの、それぞれ。断続的に全作品読破に挑戦中。2017/10/30
白玉あずき
21
演劇にあまり興味が無かったので、どれもこれも新鮮な知識ばかり。面白いわー。今までシェイクスピアの作品を、普通の小説のような読み方しか出来ていなかった自分。思いっきり尻を蹴飛ばしたくなった。過去の自分はバカでした!ト書きが少ないせいもあり、役者の肉体的表現とか、立ち位置、動きなんか全然頭に浮かんでいなかった。シェイクスピアの意図を忖度するばかりでなく、作者の向こうを張って登場人物の心理を深読みし、時代に合わせて新解釈することも勿論価値のあることで、役者さんと演出家の能力次第。「演劇」深いぞ、面白いぞ。2016/08/02
野の花
15
英米文学はあまり読まないので挑戦をとこの本を借りてみました。正解でした。入門書としてもいいですね。シェークスピアを読んでみようという気になりました。シェークスピアの偉大さが分かりました。あらすじやそれにまつわる歴史背景、演劇での役者さんたちとのエピソードなどどれも興味深かったです。 2016/07/23
ヴェルナーの日記
15
本著作者の松岡氏は、シェークスピアの翻訳者として有名であり、舞台演劇の台本翻訳家としても、精力的に活動されている。 通常のこの手の本は、論説が中心で、ともすると難しい内容になりがちですが、本作は著作者が、舞台演劇の翻訳台本を作り上げていく過程をインタビュー形式で書かれておるのでとても読みやすいし、舞台役者とのやり取りの中で翻訳のを変更するエピソードなどが盛り込まれていて、舞台演劇の翻訳という視点から書かれてあることがとても斬新だ。 シェークスピアファンであれば、必読の一書といっても過言ではない内容。2012/06/20
chisarunn
9
シェイクスピアを読み直すにあたって、関連本を少し読み込んで方向性を決めようと思っている。で、この一冊だが「訳者は絶対松岡和子さん!」という決定打となった。自分が昔読んだのはほとんどが福田訳だったし、小田島訳でもいいなーとか思っていたのだが、小説の翻訳とはまた違った戯曲の翻訳の凄さがこの本でよくわかった。文学史でもほとんど触れられることのないクリストファー・マーロウとの関わりも興味深い。これまでちょっと敬遠していた歴史ものをがぜん読みたくなった。まずは「ヘンリー六世」かな?2021/10/24
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- 和書
- 統合失調症は回復します