内容説明
「早稲田大学で教えた二年間、教室でこんな事を話していました」―ドラマ、映画、落語、朗読、短歌、舞台美術、音楽…さまざまな表現に“スパークする”小説家の創作魂。「その人でしかありえない」表現の秘術。より深く味わうための心得、「伝える」こと「分かる」ことの奥義。小説家の頭の中、胸の内を知り、「読書」で自分を深く探る方法を学ぶ。
目次
書きたいことは何か
創作の糸口を見つける
連想する、想像して創造する
物語のまなざし―視点と文体
短編小説を読む
演習 話を聞いてコラムを書く
演習 天野慶さんにインタビューする
演習 それぞれのコラムを読む
「伝える」ということ
独自の表現―偏愛と執着
「出会う」体験―創作と共感
書籍編集という仕事
雑誌編集という仕事
作品にふさわしい真実―表現と個性
「語る」妙味
《もの》を見る目―作家の好奇心
「分かる」ということ―特別な能力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
163
面白い。いい意味で期待と違う内容。小説の書き方のハウツーかと思ったら歌人や編集、学生との対話形式。大学の教室の講義録。編集から見た小説家や編集の苦労が面白かった。でも小説の書き方などは出てこない。理系だったabsintheには、文系教室の雰囲気は知らないことが多い。興味深く読めた。2016/12/11
KAZOO
108
北村さんの早稲田大学における授業を本にしたものです。このような授業であれば楽しいでしょうね。参考になります。途中に演習も入っていて授業の臨場感も伝わります。創作に関して様々な作家の作品なども取り上げられています。本のいいところは下段にその参考にされている作家などについて書かれていることです。再度読みかえしたい気もしました。2018/04/02
岡部敬史/おかべたかし
99
しびれるほどの名著でした。《結局のところ、表現とは「どのような自分であるか」を見せることです》など金言満載。それでいて肩肘張らず楽しく読める。ずっと置いておきたい本ってこういう本を指すのでしょうね。こんな授業を受けられた学生さんが実に羨ましかったです2018/03/25
ひらちゃん
73
まるで本当に講義を聞いているかのようで楽しい時間でした。短歌の天野慶さんへのインタビューやら、それからおこした課題。編集者の作家への関わり方とか。NHK「課外授業ようこそ先輩」の話は面白かった。同じくなにかを見ていても、通り過ぎてしまわず立ち止まりたい。そんな気持ちを思い出させてくれた。北村先生の講義、直に受けてみたくなる。2018/01/05
ユメ
63
読み終えて、すらすらと言葉が出てこない。「《読む》こともまた、重要な表現です」「読むことは、書くことと同様、大きな創作なんですね」繰り返し語られる、読むという行為の重要性。読むことも自分を語ること、ならば読書感想文は究極の自己表現だろう。それがすんなりと出てこないという状態が、まさにこの本を読んで悶々としている今の自分を表しているわけだ。何故もやもやした気持ちを抱えているかというと、自分がこれまで書いてきた感想文を思い出したからに他ならない。正直言って、出来不出来の差は自分でそれと分かるほど激しい。→続2015/09/26