内容説明
遠く縄文時代からたくさんのやきものと触れあってきた日本人独自の鑑賞法を、多くの具体例を示しながらやさしく解説。
目次
私たちの美意識
「鑑賞力」について
鑑賞の変遷
わが国独自の陶磁観―二つの独創、五つの感性
徹底鑑賞五例
珍品・稀品の魅惑
なぜ「信楽と李朝」か
鑑賞的に見る各国の陶磁
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
501
14
日本人特有の伝統的な感性を切り口にやきものの鑑賞方を説明する。井戸茶碗や窯変の景色など外国人から見ると汚いとうつるようなものに美を見いだす感性や映り、土味を見いだす感性からの視点が主で、磁気の白の美しさや伊万里焼の絵付けの美しさのようなものの鑑賞は含まれない。焼き物の柄に民族の悲哀を見いだすなど、想像力豊かに感傷的に鑑賞するのは鑑賞の本筋ではないとばっさり切っているのが好ましい。2018/10/13
FOTD
6
1997年に発行された本。今読んでもちっとも古くない。最初の「私たちの美意識」と「鑑賞力について」の2つの章を読んでいるうちに、この本の世界に引き込まれてしまった。日本人の感性として、土味、景色、手触り、映り、古色、の5つを解説しているが、これがなるほどと思った。私は井戸茶碗が好きだが、雨漏りがある井戸茶碗は見ていて本当に愛しくなる。2019/12/04
tnk
1
入門書ながら、民芸運動を痛烈に批判しており、びっくりするかもしれない。 茶道、華道といった使用のコンテクストを踏まえた鑑賞というのは同意できる。さらに抹茶と煎茶で適した茶碗は異なる、という話も面白い。 感性的な批評は参考になる部分も多いが、歴史的事実の推測(織部様式は一人の天才工人が作ったに違いない、など)には根拠が感じられないものもある。2018/12/16
takao
1
使ってこその美2016/11/10