内容説明
日本はなぜ孤立するのか。西洋の行動原理の底流をなす聖書の論理体系。日本人のキリスト教理解をくつがえす驚異の書。
目次
序章 不可解をたどれば聖書の論理
第1章 西洋人はなぜ空間意識が広いか
第2章 なぜ大局観があるか―ブレイクダウンの思考方式
第3章 この先、世界はどうなると考えているか―西洋人の歴史観
第4章 どういう理屈でイエスを「神」と考えるか―教会のアイデンティティー政策
第5章 カトリック、プロテスタントとは何か―キリスト教団の展開
第6章 カルビンは何をしたか―理念家と能史のコンビが最大パワーを生む
第7章 人の心をどう見ているか―聖書の意識構造論〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
フロイトの「深層心理学では、人の意識を「自覚できる意識層」と、「自覚できないが顕在意識の在り方のもとになっている意識層」との、二つの意識層で構成されているという見方が基本になっています。西洋人の意識の奥にある聖書でも同じような二重構造的な捉え方をしています。フロイトの顕在意識に当たるのが、聖書では「知性の思い」…潜在意識に当たる意識領域が「霊の思い」」「地上天国とは、要するにこの世での理想的な社会のあり方…それに関する理論となれば、共産主義体制の理想をのべたマルクスの理論と共通した性格のものになる」2016/01/17
なつき
3
鹿嶋春平太『聖書の論理が世界を動かす』再読。いやあ。また一冊、めっけてしまった。いま求めているアンチテーゼのほうではなかったけど、むしろ自分自身の論を補強してくれる論としてかなり……かなり、理想形です。もちろん使わせていただきます。前回読んだときはむつかしかった。すげえ良書だ。2017/11/08
なつき
1
『聖書の論理が世界を動かす』読了。キリスト教入門的な本。世紀末に書かれていて、時代の文脈において動的な分析をしていることと、筆者が経済学の教授であるからか、標準的日本人がロジカルになすであろう質問をていねいに先回りしているのはポイント高いなと。むしろ基礎教養としてすすめたい一冊。2017/03/20
nizimasu
1
今の時代ほど、アメリカを問わず西洋諸国に違和感を感じる時代はない。その違和感の根源がどこにあるのかーー問い続けていくと聖書に行き当たる。違和感というより完全に別の世界観なり宇宙観を持っている人をまた理解する上で、極上のテキストではないか。そして、新自由主義が台頭する90年代半ばに書かれているだけに、ある種のその後の破綻ぶりも今の視点で考えると思っている以上に収穫も多い。最良のテキストの一つかも2012/08/09
lily
0
欧米は先進国であるという感覚は日本人は誰にもあるが、おおよそ欧米は宗教国家である。アメリカは合理主義精神の最先端を行く国のように見えるが、バリバリの宗教国家である。日本人とは別の世界観を持って回っているということを考えさせる。2013/11/29