内容説明
猛暑に焼かれる夏の盛り、干上がった貯水池から、半世紀前に沈められた村があらわれる。村で見つかった白骨死体には惨殺の痕跡があった。このニュースに、人気ミステリ作家のエルムズリーは震え上がり、デビュー前に書いて封印していた原稿を取り出す―。抒情あふれるアンソニー賞、バリー賞同時受賞作。
著者等紹介
ロビンスン,ピーター[ロビンスン,ピーター][Robinson,Peter]
1950年英国ヨークシャー生まれ。リーズ大学卒業後、’74年にカナダへ移住し、ヨーク大学で博士号を取得した。’87年アラン・バンクス首席警部を主人公とする『罪深き眺め』でデビュー。登場人物の心理や事件の背景を丹念に描いて深い余韻を残す同シリーズは、現在までに14作が書き継がれている。第10作に当たる『渇いた季節』で2000年のアンソニー賞、バリー賞をダブル受賞。’01年にはMissing in Actionでエドガー賞最優秀短編賞を受賞するなど受賞歴多数
野の水生[ノノミオ]
5月生まれ。訳書にS.ヒル『雪のかなたのランタンの灯』『ガラスの天使』、幸田敦子名でS.ヒル『ぼくはお城の王様だ』、L.サッカー『穴』など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
10
「水曜日の子供」「誰もが戻れない」に続き読む。本作は7百頁を超える。ヨークシャーのダムに沈む小村が干上がって姿を表し、女性の死体が見つかる。戦時中に誰が女性を殺したのか、がポイント。捜査に当たるバンクス主任警部は本部長を殴って逼塞中何故か彼に事件を担当させられる。しかも魅力的な女性部長刑事set。不可解だが。被害者女性の義妹に当たる女性は50年後作家となっており、小説の叙述は作家の回想と現実の捜査が互いに並行して進む。節目に小さな暗転があり興味を繋ぐ。これにより既読の著者作品の中で一番面白いものとなった。2021/08/14
橘
7
英国主席警部の人生の、潤い無し崖っ淵な季節。リアルタイムと秘匿された原稿が交互に提示される構造は、二組の主人公たちが気になってしょうがない。これは一気読み必至!2017/03/20
きらきらり
2
面白かった。しんみりとくるミステリー。2016/12/29
一柳すず子
2
アラン・バンクス警部シリーズの10作目。初読み。レジナルドヒルの「べウラの頂」を思い出したけど、それほど似てはいない。戦時中の田舎町と戦後を行き来しながら、干上がった貯水池から見つかった死体の謎を解く。シリーズの要素もあるけど、初読みでも大丈夫。ちょっと訳は気になった。「こざこざしたもの」って表現、あんまり聞いたことない。2016/03/27
himehikage
2
英国ヨークシャーを舞台とするアラン・バンクス警部シリーズ第10作。貯水池の村育ちの女性の回顧録部分(第二次世界大戦時)が面白い。2006/01/15