出版社内容情報
韓国で33万部超のベストセラーとなった話題作。1909年10月26日、ハルビン駅で元韓国統監の伊藤博文を銃撃した30歳の青年・安重根は、大地主の家に生まれ、抗日義兵部隊で活動しながら、戦闘中に捕虜となった日本軍捕虜を解放したこともあった。彼はどんな怒りを抱えてハルビンへと向かったのか。韓国で33万部超のベストセラーとなった歴史小説。
内容説明
世の中に裸で立ち向かう青年たちは躊躇い、悩み、そして身命を擲つ。短いがゆえになおさら強烈だった彼らの最後の旅路。ひとりの悩める若者としての安重根を描き、韓国で33万部のベストセラーとなった歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
103
初代の韓国統監を退任した維新の元勲伊藤博文は一私人の建前で満洲視察に旅立つ。一方、妻子を残し故郷を出奔した朝鮮人青年安重根はロシア沿海州のウラジオストックから東清鉄道で西へ向かう。旅順の視察を終えた伊藤公を乗せた列車は大連から北上。両者の人生はハルビンで交差する。安重根は、特別列車からプラットフォームに降り立ちロシア兵を閲兵する伊藤めがけて儀仗兵の背後からピストルの引き金を引いた。著者キム・フンは二人の動きを淡々と綴る。二人の心情も描かれるので小説とわかるが、まるでドキュメンタリーのように進行する。⇒2024/08/20
岡本正行
84
自分の祖国を植民地にされた朝鮮人、安重根。当方が日本人だからといって、その暗殺の志、理解はできる。日本が占領されて植民地にされて、おりあらば、その首脳クラスを暗殺して国の復活を目指すのは、英雄行為とせざるを得ない。 朝鮮・韓国人は、激しやすい、激しにくとも、少しでも怒りの矛先を敵に向けたい気持ちはよくわかる。壮士というべきである。日本人なら義人佐倉宗五郎ぐらいだろうか、たくさんいるのだろうけど、いますぐは、それぐらいしか頭に浮かんでこない。安倍元整理を狙撃した人とは、まったく別である。国とか教団ではない2024/09/15
たま
68
韓国小説ほぼ初読みの『別れを告げない』が良かったので、近刊の『ハルビン』を読んでみた。もちろん安重根による伊藤博文暗殺が主題だが、著者のキム・フンさんは暗殺の背景にある情勢にあまり踏み込まず、大連からハルビンに向かう伊藤、ウラジオストクからハルビンへと向かう安重根の行程をたどる。きびきびした筆致が二人の真っすぐな意志、真っすぐな行程と重なり、読みごたえがあった。ただ、そもそも私に韓国の歴史、社会の知識が乏しく、疑問もたくさん湧いてきた。そういう意味でも良い本だと思う。→2024/08/10
NAO
60
日本は清に勝ち朝鮮の独立を認めさせた。だが、それは、干渉国が日本に変わっただけのことだった。そして、伊藤博文が朝鮮統監府の初代統監となった。巻末にも書かれているように、私たち日本人は伊藤博文が暗殺されたことは知っているが、その背景については何も知らない。だからこそ、この作品は私たち日本人が読まなくてはならないものだと思う。作品は、伊藤博文のターンと朝鮮青年安重根のターンからなり、余計な言葉を削り落とした硬質な文章で、最初から緊迫感に満ちたものになっている。小説というより、ルポルタージュのようだった。2025/01/04
やいっち
51
車中で読む本じゃないが、敢えて。読み物として凡庸な感強い。テーマは劇的なのに、緊迫感が伝わってこない。正直、読むのが苦痛だった。ベストセラーなのも、韓国だからこそだろう。2025/01/11