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最終目的地

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  • サイズ B6判/ページ数 440p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900755
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自殺した作家の妻、作家の愛人と小さな娘、作家の兄とその恋人である青年。ナチスの迫害を逃れてきた先代が、ドイツ風の屋敷をたてたこの場所で、人生を断念したかのように静かな暮らしが営まれていた。そこへ突然、作家の伝記を書こうというアメリカの大学院生がやってくる。思いがけない波紋がよびさます、封印した記憶、あきらめたはずの愛―。全篇にちりばめられたユーモアと陰翳に富む人物像、それぞれの人生を肯定する作者のまなざしが、深く暖かな読後感をもたらす。英国古典小説の味わいをもつ、アメリカの傑作小説。

著者等紹介

キャメロン,ピーター[キャメロン,ピーター][Cameron,Peter]
1959年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。少年時代をイギリスで過ごす。ニューヨーク州ハミルトン大学卒業。86年、短篇小説集『ママがプールを洗う日』でデビューし、高い評価を得る。2002年刊行の『最終目的地』はPEN/フォークナー賞およびロサンゼルス・タイムズ文学賞の最終候補になったほか、ジェイムズ・アイヴォリー監督によって映画化されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

96
死んだ作家の実像に迫る話かと思ったら、それは謎のまま。彼の唯一の作品も内容は明らかにされず。ほとんど会話劇のよう。しゃべっているうちに、彼らは見ないようにしていた真実に気づく。停滞していた人生が動き出す。死んだ作家がそれ程魅力的に見えないのが残念。2018/05/05

NAO

60
俗世間離れしているウルグアイの片田舎の辺鄙な場所に立つ広大なヨーロピアン邸宅。ナチスの迫害を逃れてきた裕福な両親が建てた家に作家と妻、作家の愛人と娘が住み、近くの製材所に作家の兄と同性の愛人が住んでいた。作家が亡くなって長い間、残った者たちは波風を立てることなく暮らしていたが、ある青年がやってきたことから、その生活が軋みだす。彼らは、実は、波が立つことを心の奥底で待っていたのだ。一人の青年が来たことで、それぞれが自分の最終目的地へと旅立っていく。ただ一人、泰然としている兄の姿には心に沁みるものがある。2022/12/24

七色一味

56
読破。表紙がとても爽やかで、それに惹かれて借りたんですが…。☆既に最終目的地のような、ある種退廃感を孕んだ物語の開始から、ぽんっと何気に放り込まれた小石がたてたさざ波が、枯れ葉や小枝が堰き止めていた淀みを崩すように、登場人物たちを更なる最終目的地めがけてゆっくりと押し流していく。何かが起こるわけではなく、ただ、今が流れていく。そんな感じの物語です。☆映画になっていたんですね。真田広之がゲイのパートナー役として。(@_@;)ですわっ(笑)2015/07/02

b☆h

35
ウルグアイの辺境で暮らす人々が、少しずつ変わっていく物語。満ち足りることは、きっと退屈さと背中合わせなのだろう。新しい一歩を踏み出すのはいつだって、もしかしたら大人になってからの方が難しく怖くなるのかもしれない。それでも、勇気を出して踏み出せたなら、きっと楽しいことや幸せが訪れる。いや、踏み出せた人にしか、感じることは出来ないだろう、と思わせてくれる良い終わり方だった。読み終えた後、人と会いたくなるような、愛おしさが湧き上がった。2022/06/11

藤月はな(灯れ松明の火)

34
ウルグアイのとある家族。家長である作家が自殺してからその家の時は静かで奇妙な絶望で止まったままだった。だけど、ある意味、小狡く、一種の悲壮さを隠して生きてきた家族に作家の研究をしている大学院生が館を訪れてから屋敷の時は動き出した。今まで穏やかさで覆い隠されていた絶望が顕になるが、それは過去の終わりの終わり=今の新たな始まりでもあった。オマーには苛々させられたけど、彼の恋人で花嫁になる予定だったディアドラが裏切られてもオマーのことを思って気丈に振る舞う姿が素敵。どうかお幸せに。2016/05/17

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