内容説明
売れない女流映画監督クリスは、超インテリの旦那がいるのに、売れっ子批評家ディックに一目惚れ。炸烈したオンナ心は、いつしか怒濤の恋文ストーキングに―。ディックからの返事はくるのか?有名ポストモダン批評家の夫は離婚の危機をいかにして「脱構築」するのか?クリスの愛は成就するのか?前代未聞のポストモダン恋愛小説。
著者等紹介
クラウス,クリス[Kraus,Chris]
ニュージーランド生まれ、アメリカ在住の作家、実験映画製作者。デビュー作「アイ・ラヴ・ディック」(1997年)が異色のポストモダン私小説として、侃侃諤諤の議論を呼ぶ。他の小説作品に「エイリアンと拒食症」(’99年,未邦訳)。また、映画作家として、「グラヴィティとグレイス」等を監督する一方、コロンビア大学にベースを持つ先鋭的な批評誌「セミオテクスト」の叢書シリーズを編集する。本書にも登場する夫のコロンビア大学教授シルヴェア・ロトリンガーとともに、アメリカにおける“知の仕掛人”の一人。現在、ロスアンジェルスのアートセンター・カレッジ・オヴ・デザインの大学院創作科で教鞭をとる
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
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【昔わたしが拒食症だった時の心の傷と、いま金々と稼ぎまくっているばあさんのわたしが共存できるかしら。自殺するのは生き残るためなのね】妻は売れない映画監督。夫は国際的哲学者。実在する夫婦と有名評論家との三角関係を、その夫婦で小説に――。原書は1997年刊。<ディックを愛したことでイエスと聖人の差を理解した。「聖人はその行いで崇められる」と彼女はディックに書いた。「恩寵という状態を得るために苦行によって自己を作り上げた人が聖人だ。しかしキリストは女の子みたい。何もしなくていい。きれいなだけで愛される」>と。⇒2024/11/10