内容説明
女たらし、酒好き、独大使館ブレーン、敏腕特派員、そしてソ連東京諜報網のトップ…20世紀最大の国際スパイ、ゾルゲ。未公開だったKGB極秘文書をはじめ、半世紀の沈黙を破った愛人達への徹底取材をもとに、ゾルゲの絶望と苦悩の生涯を、気鋭のジャーナリストが描く。モスクワで諜報訓練を受けたゾルゲは、上海から東京に舞い降りる。時は太平洋戦争前夜。日本軍はソ連を攻めるべきか、南方へ展開すべきか、ぎりぎりの決断を迫られていた…。「日本軍、南進ス」東京から一本の密電がスターリンに向け、発せられた。日独露に翻弄され、祖国にも見棄てられたスパイの知られざる素顔を、未公開文書と愛人達の新証言から浮き彫りにする。
目次
1896年6月―少年時代と第一次世界大戦
1917年11月―研究生活と革命的実践と
1924年10月―コミンテルンの一員として
1930年1月―上海を舞台に
1933年4月―「東京も悪くないですね」
昭和8年(1933年)9月―なくてはならぬ存在
昭和8年10月―東京諜報網の基盤整備
1935年夏―モスクワへの帰還
昭和10年(1935年)10月―「きつい、本当にきつい」
昭和16年の冬と春〔ほか〕