内容説明
その先駆的な生き方が現代女性の共感を呼んでいる女流劇作家の代表作六編。女性教師カレンとマーサがレズビアンの関係だという噂は、一人のわがままな娘が退屈まぎれに流した子どもっぽい作り話のはずだった。だが、マーサはカレンに対してひそかに恋心に似た感情をいだいていた。その罪の意識からマーサは自らの命を絶つ―心の同性愛すら容認できない社会への非難をこめた「子供の時間」ほか問題作五編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
105
読んだのは『子供の時間』(リリアン•ヘルマン)のみ。なかなか気持ちの良い人がいなくて、読むのがとても苦しかった。償いというのは、自分が楽になりたいからすることだと言うのは、真実かもしれない。誰かの心をを本当に傷つけてしまったら、その人に対してけっして償えることはないのだろう。だから、人を傷つけてはいけないのだと強く感じさせられた。2021/05/01
tekka
2
ヘプバーンの「噂の二人」の原作である「子供の時間」目当てに読む。当時の感覚と照らし合わせてみても、やはりオチに納得できない。傑作なのは確かなのだけれど。どれも面白く読んだが、特に「屋根裏部屋のおもちゃ」が刺さる。これは是非上演が観たい。2024/01/03
葛
1
子供の時間、小狐たち、ラインの監視、森の別の場所、秋の園、屋根裏部屋のおもちゃ リリアン・ヘルマン著 小田島雄志訳 発行:1995.1.30 発行者:佐藤亮一 発行所:株式会社新潮社 印刷所:三晃印刷株式会社 製本所:加藤製本株式会社 協力:佐藤淳子、渋谷遼一2020/07/05
まり☆こうじ
0
『森の別の場所』は名作『小狐たち』(映画化が『偽りの花園』)の前日譚で、これもえげつなくて非常に面白い。名作『子供の時間』は映画版『噂の二人』の脚色が意外に良かったことを教えてくれる。あの映画は再評価が必要に思う。2024/07/03