内容説明
常に予測不可能な歴史によって変転し、謎に満ち、理解されにくい我がロシア―。国家崩壊という未曽有の事態に追いこまれたとき、人はいかにして生きるか。霧の中を手さぐりで歩んだ1992年、モスクワの普通の人々の実験的生活が鮮やかに浮びあがる日記。
目次
1月 倒産していない銀行に現金がない、とは
2月 ロシア人の意識の中の、女性原理と男性原理
3月 兎ですよと偽って押しつけられる野良犬や野良猫の肉
4月 わが国の美点は、新鮮な驚きが尽きないことだ!
5月 あの人だって娘のことをきっと思い出すはず
6月 懐かしく軽やかな哀しみが押し寄せてくる
7月 右に行けば馬を失い、左に行けば首をはねられる
8月 政府は退陣しなかったし、クーデターも起きなかった
9月 幼子が手を振るごとく、笑いながら筆をとった秋
10月 議員の選挙民軽視には国民も同じ気持ちで応えている
11月 神秘の「白き羊」がギペルボレイの民を率いて
12月 ロシアは謎と予測不可能な歴史の変転の国