内容説明
ドナルド・キーンやサイデンステッカーと同じ海軍日本語学校で学んだハリー・パッカード。彼は、戦後の混乱の中で日本人の“盲点”をつく美術蒐集を始める。その膨大なコレクションはついにはメトロポリタン美術館日本ギャラリーの柱となった―。
目次
日本美術蒐集記(日本美術への目覚め;浮世絵を蒐める;早稲田での日々;四国の城下町;初期伊万里の思い出;初期伊万里の贋物事件;贋作時代に立ち会う;南画の蒐集;仏教美術の蒐集;「蔵王権現」をめぐる駆け引き;欧州での日本美術蒐集)
日本美術の盲点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Berlin1888
3
本年最後の読書。米国人大物コレクターによる日本美術品蒐集活動記録。日本人が日本美術を論じた場合、浮世絵などに顕著なのですが、制作当時は一般普及の工芸品で制作者も消費者も美術とは思わなかったものが、外国で素晴らしいと高く評価されて、日本でも美術品扱いになるということがよくあって、そこら辺のねじれ(当時と現在の評価の違い)のせいで現代目線の主張に違和感を覚えるものが目立ちます。その点、外国人による日本美術論は見たままありのままに論じているからかすっと受け入れられるのが不思議。異国でのコレクター生活も楽しい。2018/12/31
紫
2
1993年刊行。昭和の大物アメリカ人美術コレクターによる『芸術新潮』誌への寄稿の単行本化。「ドナルド・キーンやサイデンステッカーと同じ海軍日本語学校で学んだハリー・パッカード」とオビでは宣伝されているんですが、彼らとの交流といった話題はまったくございません。外国人による日本美術コレクション活動ということでミーハーな気持ちで手を出してはいけません、美術に関する記述はとってもガチ、読者にもある程度の予備知識を持っていることが要求されるのであります。美術雑誌の連載だったからね。星4つ。2020/07/23
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- 和書
- ことばの波止場 中公文庫