内容説明
5歳児ほどの小さな身体。異星人みたいなへんてこな声。ぼくの親友オウエンは、神が遣わされた天使だった!?宿命のファウルボールによる母の死。前足を欠いたアルマジロの剥製。赤いドレスを着せられた仕立用人台。名人の域に達した二人組スラムダンク。―あらゆるできごとは偶然なのか?それとも「予兆」なのか?映画「サイモン・バーチ」原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
49
再読。父親が不明で母と二人で暮らしているジョン。5歳児程度の身長しかない小人症で、とんでもなくつぶれた声の持ち主オウエン。彼らは、アーヴィングが常に描く弱者の象徴として描かれている。二人のつながりを感じさせるエピソードが、ユーモアたっぷりに描かれていく。並はずれた知性を持つオウエンの言動は、多くの人を引きつけるものの、どことなく危なっかしい。生き急いでいるようにも見えるオウエンのその後が何とも気になるところで下巻へ。2016/05/08
踊る猫
22
何の変哲もない主人公たちの日常が、しかし丁寧な筆致で慎重に記されるので迂闊に読むと「飛ばし読み」になりかねない。だから主人公の繊細な語り口をフォローして、この油絵のごとくディテールが塗り重ねられた作品を読むしかない。久しぶりに読むジョン・アーヴィングは相変わらずエッチで、「凡事徹底」を地で行く美学をこちらに提示する。ありきたりのカタルシスを求めてはいけないのだろう。私たちの人生そのままにページを(たとえ義務感からであろうと)少しずつ読む。そうするとジグソーパズルのようにピースが合わさり、絵を描くのだと思う2022/11/30
ykshzk(虎猫図案房)
12
自分がアメリカ人でキリスト教徒なら多分もっとまるごとこの本を「読める」に違いない。自分が無宗教の日本人であるがゆえに到達出来ていない感じがもどかしい。それだけ、ちゃんと味わいたい本だ。イエスの生誕劇の箇所が非常に長く、馴染みのない読み手には想像力と忍耐を要する。それでも苦労して読み終えると、どこか不気味だったオウエンに最後は心惹かれている自分に気づく。田舎という環境、身体的特徴、家庭環境、全て自分の選択でなく与えられたもの。だけど全て意味があること。上巻を読み通して出来た世界観が壊れないうちに急ぎ下巻へ。2019/03/03
シェリー
12
小さな身体と、変な声のオウエン。からかわれながらも、堂々と生き、自分の意見を述べるオウエンと語り手のジョンの関係がとても良い。個性の強い従兄弟のノア・サイモン・ヘスターやお母さんの再婚相手ダンとの絡みなどから伝わる子供の頃のオウエンを交えて過ごす様子がとても楽しい。亡くなったお母さんの事、まだ知らないお父さんの事・・・後半の二人の様子がどんな風に語られるのか楽しみ。2017/09/16
stki5236
0
★★☆☆☆2016/07/21
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