黒澤明の羅生門―フィルムに籠めた告白と鎮魂

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  • サイズ B6変判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105071110
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0074

内容説明

ヴェネツィアとアカデミー賞を制し、「世界のクロサワ」を決定付けた『羅生門』。大震災、戦災、導き手だった兄の自死など黒澤が目のあたりにした光景と実体験を不朽の映画に昇華させていった苦渋と希望の過程を辿る、世界初の試み。コロンビア大学教授による画期的クロサワ論。

目次

プロローグ

原光景
はじまり(野良犬の物語)
告白
弁士
迷路
証言者と沈黙
黒澤兄弟を語る
もう一人の芥川龍之介
スローモーション
裁判
レクイエム/再生

著者等紹介

アンドラ,ポール[アンドラ,ポール] [Anderer,Paul]
1949年、フィラデルフィア生まれ。専攻は日本文学、映画、批評、アジアの人文科学。ミシガン大学で学士号、シカゴ大学で修士号、エール大学で博士号をそれぞれ取得した。現在、コロンビア大学教授

北村匡平[キタムラキョウヘイ]
1982年、山口県生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。専攻は映画研究、表象文化論、歴史社会学、メディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ぐうぐう

33
小難しい理屈を嫌った黒澤明は、いわゆる批評家によるこじつけの分析には感情を露わにして怒ったと言う。ポール・アンドラの『羅生門』論である本書は、大学教授らしい深読みの解読が、いかにも黒澤の嫌うスタイルのように思えた。しかも、黒澤の兄の死が『羅生門』に影響を与えたとする個人史の作品への介入という手法は、危うさまで抱いてしまうものだ。ところが、読み進めていくと、その印象が少しずつ覆っていくのだ。アンドラは『羅生門』を解読するにあたって、黒澤の自伝『蝦蟇の油』をひとつの手掛かりとする。(つづく)2019/07/11

takao

0
ふむ2025/05/20

Mitsuhito Shiraha

0
てっきり映画「羅生門」論かと思って読み始めたら豈はからんやタイトルにある「黒澤明の」つまり黒澤明自身を羅生門的に多面的に捉えるという試みであった。膨大な引用から見えて来る黒澤作品に通底する「目上の人物」「悪人」或いは人の死に投影される黒澤の実兄の人生、また太平洋戦争よりも関東大震災の体験から来る廃墟のイメージ。黒澤の圧倒的かつ革新的な映画技術と歪ともいえる倫理感と美意識の融合の謎への挑戦的論考は示唆に富む。2024/12/02

Ahmad Todoroki

0
私が2023年に読んだ映画本の中でベスト1、数多ある黒澤本の中でベスト3に入る面白さ。敗戦後の日本で世界映画史に輝く『羅生門』が生まれたのは必然だったように思えてしまう。特に黒澤ファンでない人にも、明治大正昭和という時代に関心のある人には強く薦めたい。2023/12/03

Yuichiro Nakatsuka

0
黒澤明が世界的な名声を得るきっかけとなった『羅生門』を中心にその芸術と人物について分析・評論した書。自伝『蝦蟇の油』も俎上に乗せられ、彼の人生に起こった様々な出来事が、いかに作品に影響したかを綿密に読み解いている。やはり兄丙午の影響の大きさが特筆されていて、その兄の死についての黒澤の自伝における記述と、竹馬の友である植草圭之助の証言と、新聞記事とが食い違っており、まさに『羅生門』そのものであることが興味深い。2020/04/27

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