われらが歌う時〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 524p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105058715
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

受賞多数、驚天動地の結末。現代世界文学の最前線、あのパワーズの渾身の最新作。
あまりに美しい歌声は、時をも凍りつかせた――。ユダヤ人物理学者と黒人歌手が恋をする。子どもは3人。天才声楽家の長兄、凡庸なピアニストの弟、音楽に天賦の才を持ちながらも尖鋭的な活動家となってゆく妹。音楽は、時間は、家族を再びつなぐ絆となれるのか。現代世界文学の最重要作家が紡ぐ聖家族の物語、瞠目の最大作。

内容説明

1961年、兄の歌声は時をさえ止めた―。亡命ユダヤ人物理学者のデイヴィッドと黒人音楽学生のディーリアは歴史的コンサートで出会い、恋に落ちた。生まれた三人の子供たち。天界の声を持つ兄ジョナ、兄の軌跡を追うピアニストの「私」、そして、空恐ろしいまでに天賦の音楽の才能を持つ末妹ルース。だが、音楽で結ばれ、あまりに美しい小宇宙を築き上げた家族は、ある悲劇を機に崩壊することになる…。妙なる音楽の調べとともに語られてゆく、30年代を起点とした過去と50年代を起点とする二つの過去。なぜ二人は恋に落ちたのか。子供たちは何を選ぶのか。通奏低音のように流れる人種問題、時間の秘密。あの日に向けて、物語は加速してゆく。巨大な知性と筆力により絶賛を浴びてきたパワーズの新境地、抜群のリーダビリティと交響曲にも似た典雅さ。聖なる家族のサーガが、いま開幕する。全米批評家協会賞最終候補作。プシュカート賞/ドス・パソス賞/W・H・スミス賞ほか受賞。

著者等紹介

パワーズ,リチャード[パワーズ,リチャード][Powers,Richard]
1957年イリノイ州生まれ。シカゴで育ち、教育者である父親の仕事の関係で10歳から16歳までをバンコクで過ごす。イリノイ大学で物理学を専攻し、転じて同大で文学修士号を取得。ボストンでコンピュータ・プログラマとして勤めるが、アウグスト・ザンダー撮影の一葉の写真と出会い、退職。2年を費やしてデビュー長篇『舞踏会へ向かう三人の農夫』(1985)を書き上げた。同書は各方面から絶賛を浴び、驚異的なデビューを飾った。以後もその強靱な知性と筆力から一貫して高い評価を受け続け、2006年にはThe Echo Maker(新潮社より刊行予定)で全米図書賞を受賞、押しも押されもせぬアメリカ現代文学の最重要作家となっている

高吉一郎[タカヨシイチロウ]
1971年横浜生まれ。文学博士(コロンビア大学)。現在、米タフツ大学英文科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

76
歌手を目指す黒人女性と本国を追われるようにしてアメリカに流れ着いたドイツ系ユダヤ人の男性が恋に落ち、自分たちの子どもを新しい世界の住人とするべく音楽教育を授けていく。これは、家族の物語だが、人種差別問題をテーマにした話でもある。混血の三人兄弟はそれぞれに肌の色も違い、立場も変わっていく。なんとも複雑な問題を、パワーズはどのように描いていくのか。2020/07/05

兎乃

39
ガラテイア2.2で文転野郎の嘆き節などと言ってすみません。パワーズ、凄いです。『どの方角に望遠鏡を向けても、必ず違った波長を見つけることができるのよ』ユダヤ系物理学者と黒人音楽生の恋、結婚、生まれる子ども三人、その5人家族の半世紀を描く、けれど大河ドラマ的な小説ではなく、表紙に挟まれた音楽であり われらが歌う時 読み手の私は"今"に対峙し パワーズは"時"を見事な手捌きで操る。語り手であるジョゼフが 時代や社会の中で われらの複数の"今"として了解していく文体のみごとさ。言葉に圧倒されつつ下巻へ。  2013/07/11

ゆか

34
音楽と時間と差別に重点をおいた家族のお話。音の表現を文字にするのがこんなに凄いんだと思わされると同時に、難しい物語でもあった。隙間なくビッチリ詰まった本書に尻込みしそうになりながらの読了。黒人であるエメットテイルの実話を知らなかったので、そこが1番の衝撃でした。黒人差別は当然の事とした時代。主人公達は混血児。差別されている側の黒人達からも逆差別を受ける生活。奥が深く、溝も深い物語でした。2016/04/22

スミス市松

27
言葉と音楽が弧を描く。二つのベクトルが結びつき二つの時代を行き交って文章のいたるところに多様な旋律を響かせながら、弧線は私たちの想像域と「二十世紀という名の、混じり気なしの暴力行為」(『舞踏会へ向かう三人の農夫』)を通過して現在に回帰する。一九三九年のリンカーン記念廟で黒人アルト歌手マリアン・アンダーソンの歌った”My Country, ‘Tis of Thee”で始まるこの物語が、一九六三年のワシントン大行進――「私には夢がある」と語ったあの説教者の演説とともにこの曲が同じ場所で歌われた――に至るとき、2018/10/06

山口透析鉄

21
パワーズの名前はかねがね聞いていましたが、ちゃんと読んだのはこの本からでした。豊崎由美さんが、だいぶ読みやすくなったとラジオ番組で話されていたので、図書館本を借りました。 音楽家一家の話で、米国の歴史や人種問題等、さすがの手際でまとめた素晴らしい小説ですね。 ピンチョンだとちょっと詳細な解説や注釈等がないと読みきれませんが、確かに、これくらいこなれていると、読みやすかったですね。2012/10/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/520862
  • ご注意事項

最近チェックした商品