感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
39
自尊心というものは何を根拠に生まれるのか、きっと人それぞれに違うのだろうけれど、このサガンっぽくない作品の主人公、冴えない自信の無い安サラリーマンの青年にとっては分かりやすくも「金」であった。宝石泥棒が落とした莫大な価値の宝石を偶然見つけた事から、彼の人生は大きく変わり始める。・・・しかし、読み終わって感じるのは、自分の努力無しに自分を変えようとすることの空しさ。他力本願の人生は結局、後に何も残さないのだろう。「犬」が面白い存在で使われている。この犬の正体は一体何か、考えるのも面白い。2014/11/16
meg
10
なんか推理小説のようでハードボイルドのようで。サガンらしからぬサガン。とても良い。装丁もすきだ。2024/02/04
ドミニク
0
たまたま道で手に入れた巨額の価値をもつ宝石。それは強盗殺人によって盗まれた財宝だった。気弱で漂うようにいささか虐げられて生きていた主人公だが、少し強気になっていく。宿屋の女将は悪い男が好きなようで。年増の女将に恋をしてしまい、やはり振り回されてしまう。定番サガン作品とは違う雰囲気を持つ作品。2025/04/08