新潮・現代世界の文学<br> さようならウサギ〈2〉

新潮・現代世界の文学
さようならウサギ〈2〉

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  • サイズ A5判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105001155
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

トヨタ自動車の代理店を息子ネルソンに譲り、悠々自適の生活を送っているウサギの姿が描かれている。悠々自適といっても心配の種がないわけではない。ネルソンがドラッグに手を出し、莫大な借金を作ってしまうし、妻のジャニスは外に働きに出たいと言いだす始末。自分自身は心臓に持病を抱えている。女体遍歴に終始したウサギの生涯を飾る最後の輝かしい瞬間は、周囲の状況にたいする絶望から、自暴自棄になった嫁のプルーとのたった一回の情事だった…。「金持になったウサギ」に続いて、シリーズとしては初めて、ピューリッツァー賞連続受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

56
さんざん好き勝手なことをしてついに息子の嫁にまで手を出したハリーは、家庭の最悪の事態を見ることもなく亡くなった。だが、ネルソンは、自分の不行状によって、一家の経済状態を最悪なものにしてしまった。アングストロング家のこれからの日々は、辛く厳しいものとなっていくだろう。確かに悪いのはネルソンだが、そうなったのは本当に彼だけのせいだろうか。諸悪の根源はハリーではないのか。私個人としては、ハリーには死なないでいてもらって、一度でいいから自分の生涯を真剣に反省してもらいたかった。2016/10/27

田中

17
米国の音楽・映画・スポーツ・芸能界の表現、政治経済問題を重ねあわす。フォークナー以来となる二度目のピューリッツァー賞作品。人には面倒がわきおこる。ハリーには予期せぬことばかり。自分が原因になったこと。妻が不動産業に目覚めた。息子とは世代間による価値観の離反。夫として父親として率直にこたえる。が、不満が漂う。最善の考えがわからないから模索する。人の生き方は、多種多様で複雑だ。家族の齟齬を背負いながら、折りあっていくしかないのだろう。生きるとはそんな感じなのかもしれない。ウサギの最期にしんみりとなりました。 2019/01/05

ヘラジカ

10
個人全訳版で読了。感想は『ラビット・アングストローム』に。2016/10/16

Э0!P!

3
会計士曰くライルはスリムの本名(アンガス・バーフィールド)で融資を受け一月に1台車を買っていた(本人はでクリスマス前に死亡していたのに)、行進でアンクルサム役、島田棗、ピート、ゴミ、テニス、規律、牧師のような、ロニーとゴルフ、ヤマハのボート、奥まってて巣穴のように居心地のいい家、忍冬、雑草は自身が雑草と知らない、プルーとウサギを許さない、懐かしの曲がメアリ・アン、バッカーのカリスマ性、消えたトリチウム、人間の声は全て害虫の出す音、電話、ジアマッティ、シナトラ、サラソータから、自分はまだ自分、使い捨ての音楽2024/11/01

niki

3
四部作読了。序文で作者の賢さを初めて知る。ピューリッツァー賞も受賞していたのか。確かに他にない作品。アメリカの歴史や文化だけでなく、日本の経済や資本主義への揶揄も描かれている。セックスも性もごちゃ混ぜに書かれている。 どうして母親は息子に甘いのだろう。その甘さが本書では壊滅的な事態を引き起こす。そしてウサギは思う「二人トモ、ザマアミロ」。残酷だが笑える。 ウサギは複数の女性と浮気したけれど悪を働いたことは無い。いつも正直だった。そこが美しかった。最期にバスケをプレイできたことは嬉しい。さようなら、ウサギ。2024/02/04

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