内容説明
竜巻に飛ばされたドロシーと犬のトトが下り立ったのは、美しい魔法の国だった。だが故郷カンザスに帰るには、エメラルドの都に住む偉大なる魔法使いオズの力を借りる必要があるという。道すがら、脳みそのないかかし、心のないブリキの木こり、臆病なライオンを旅のお供にするが…。
著者等紹介
ボーム,ライマン・フランク[ボーム,ライマンフランク] [Baum,Lyman Frank]
1856‐1919。ニューヨーク州生まれ。石油産業で一山当てた裕福な家庭に育ったが、夢見がちな子どもだったのでスパルタ式の士官学校に入れられる。その後、養鶏事業で成功し頭角を現すが、俳優、雑貨店店主、新聞発行人、陶磁器セールスマンなどを経て、専業作家となる
麻生九美[アソウクミ]
東京都生まれ。翻訳家。早稲田大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
206
ジュディ・ガーランド主演の映画はいつか観て素晴らしかった記憶があるが、原作ははじめて読む。寓意を繙いたり、現代的な解釈を試みたりもできるが、何よりおはなしそのものが愉しくて飽きない。解説も充実。映画の有名な曲「虹の彼方に(Over the Rainbow)」がLGBTQの象徴であるレインボーフラッグへと繋がっていく、というのも何やら魔法のつづきめいている。原書の挿絵が豊富なのも良かった。2022/11/26
Book Lover Mr.Garakuta
18
【図書館】【速読】:ドロシーの冒険談が面白くて堪らんかった。魔法使いオズの力借りるライオンが素敵だなと思う。近代的古典作品である。1900年(明治三三年)初版設定集発行。1899年現代版おとぎ話(後のオズの魔法使い)の原稿を書き上げる。ゲームの種になりそうな面白い本だった2023/03/13
ろべると
10
「虹の彼方に」で知られる映画は、「チキチキバンバン」に次いで好きなファンタジー映画なのだが、原作は初めて。お供を従えて魔女退治に出かけるのは古今東西のおとぎ話の常道だし、かかしが登場するのは「ハウル」を思い出させる。悪役があまりにあっけないのも安心して読める。オズの扱いもシュール。「古典」新訳文庫にラインアップされるということは、大人向けの要素もあるということだろう。いきあたりばったりの他力本願のように見えて、実はそれぞれの持って生まれた個性と努力によって望みをかなえることができるところが教訓だろうか。2023/01/11
きゅー
7
読むのは3度目だろうか。わりと理不尽なエピソードが多くて笑ってしまった。東の魔女の圧死に続き、ブリキになる前の木こりの全身切断、寝ている怪物の殺害など血なまぐさい。解説にあるようにこの物語は旧い宗教的・道徳的教訓には触れられていない。それが良いんだと思う。現代の物語と違って、普通の少女が不思議な世界で体験する物語。 2024/04/17
Moish
4
既存の翻訳も読んでいたし、もちろん映画も観ていたが、ちょっと前に小林泰三の『ドロシイ殺し』を読んだこともあり、改めて読んでみた。欲しいものは自分の力で手に入れろ、という分かりやすいメッセージが、新訳でさらに鮮明に。今回面白かったのは、訳者の解説。作者ボームの人生は、そのまま作品になりそうなほど山あり谷ありだった。名のある児童書の作者は、型破りなことが多いように思う。読後に抱いた疑問が1つ。オズの魔法使いは、実質エメラルドの都しか治めていないが(しかもよそ者)、どうしてあの世界全体を「オズの国」と呼ぶの?2022/12/13