内容説明
麻布の名家に生まれながら、それぞれに異なる生き方を選んだ敷島四兄弟。奉天日本領事館の参事館を務める長男・太郎、日本を捨てて満蒙の地で馬賊の長となった次郎、奉天独立守備隊員として愛国心ゆえに関東軍の策謀に関わってゆく三郎、学生という立場に甘んじながら無政府主義に傾倒していく四郎…ふくれあがった欲望は四兄弟のみならず日本を、そして世界を巻き込んでゆく。未曾有のスケールで描かれる、満州クロニクル第一巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
71
今の世相を慮ってこの本を再読することにした。「満州国演義」は、船戸与一の遺作で是非多くの人に読んでほしい渾身の作品。異なる道を歩んだ敷島四兄弟の視点を通して、満州国を舞台に日本と戦争を描いた渾身の作品。太郎は、奉天総領事館に勤務するエリート外交官、次男は馬賊をひきいる攬把、三男は陸軍少尉、四男は左翼思想に共鳴する早大生。奉天近郊で張作霖が謀殺され、時代の激流は四人の人生を呑み込むでいく。長編の歴史の大河ドラマを読んでいる趣があり、読む手が止まらない面白さがある。一気に9冊を読み切るつもりだ。2026/03/05
キムチ
38
国家という枠から作り、血肉が感じられない存在・・満州国。歴史でしか知らないその存在は日本の近代から現代に於いて、目を背けることの出来ない存在だと思う。リアルに感じていた人々が次第に消えていく中で、船戸氏が満身をこめて書いたであろう気概が感じられる。慶応4年の描写が後に、どう繋がるのが楽しみ。1巻は張作霖の爆死事件前後の日本と外地が描かれている。敷島家4兄弟がそれぞれの立場で職務と性愛と人生論でのたうつ。男のドラマとはいえこの時代、女性はそうあるしかなかった事もよく解る。重いと思ったが読み終え、2巻へ。2014/10/20
いくら
30
外交官の太郎、突然消息を絶って馬賊の攬把となった次郎、関東軍に属する三郎、早稲田大学の学生で無政府主義に傾倒する四郎。敷島四兄弟を軸に張作霖爆殺事件から太平洋戦争敗戦までの満州を描く満州国演義の第一巻。魅力はなんと言っても馬賊です。浅田次郎の『中原の虹』ではじめて馬賊の存在を知ったけど、船戸作品でまた出会えるとは。2014/04/30
藤枝梅安
29
週刊新潮に連載されている「満州国演義」をまとめた単行本の1冊目。船戸さんの「蝦夷地別件」は印象に残る小説だった。その後、船戸さんの東南アジアを舞台にした小説をいくつか読んだ。日本史に関する小説は久し振り。主人公は敷島家の四兄弟。自由主義を貫いた父のもと、4人はそれぞれの道を歩む。長男の太郎は外交官として奉天の領事館に勤務している。次男・次郎は日本での喧嘩がもとで片目のを失い、満州に渡り馬賊の長となる。三男・三郎は陸軍将校として奉天に赴任する。2010/09/16
KAZOO
27
船戸与一さんの小説は昔かなり読んでいました。このシリーズが出始めて、いつ読もうかと思っていましたが、次の9巻で終わりの可能性が出てきたので文庫化を待たずに読み始めました。1巻は張作霖爆破事件があり、石原莞爾が満州にいき、また甘粕が登場する中で主人公の4兄弟の紹介があります。この中で、4兄弟に絡むメフィストのような人物が、興味をひきます。2014/06/06




