内容説明
滋味と諧謔精神に富む文章で、西洋中世史への自身の思いを語る「いま、中世の秋」。彷徨える青春時代を回想しつつ、半生をかけて日本語訳と注釈にうちこんできたヴィヨン探求の道程をつまびらかにした「わがヴィヨン」を、新たな装いで。
目次
第1部 いま、中世の秋(いま、中世の秋;ある日の講義;青春燔祭;歴史家の仕事)
第2部 わがヴィヨン(一九九二年夏、マロ本を見る;放浪学生;旅立ち;歌の場)
著者等紹介
堀越孝一[ホリコシコウイチ]
1933年、東京生まれ。1956年、東京大学文学部卒業、1966年、同大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学、専門はヨーロッパ中世史。茨城大学、学習院大学、日本大学をはじめ、多くの大学で教鞭をとる。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
6
『中世の秋』の訳者による徒然エッセイ……と呼ぶには衒学的すぎるが、かといって中世のことを学ぶための資料になるかというと、そうもならない。むしろ著者の、二世代は前の教養人による華麗なる文章を楽しむ、という体か。知らない単語だらけだけど不思議と意味が通じるように感じる。文体が殊更古風な感じでもないが語彙が凶悪で、現代ではお目にかからない教養の高さをうかがわせる。どういう勉強したらこうなるんだろう? 侍立、という単語が妙に記憶に残っている。本書のあとがきの数か月後にがんで亡くなったようだ。良い本でした。2022/02/10
ヒラタ
1
優しくて好きです。後半の方は知識が足りなすぎて難しかったですが、「小春日和のヴェズレー」の恩師に対する切なるおもいには感動。堀辰雄をお好きみたいで、それにも共感。2021/12/26