内容説明
織田信長の一度ならぬ依頼を受け、戸波市郎太は信長言うところの「天下城」をつくることを約束する。その機会が訪れる前にも、小谷城や大合戦を控えた長篠城を手がけるのであった。乱世を平定した信長は、安土に城を築くことを決め、市郎太に大きな役割を与えた。永遠にその名を留める安土城の栄枯盛衰。そして鬼才の生涯も幕を閉じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ながのゆうこ
12
地震によって熊本城の石垣は崩れてしまったが、あの石垣を積んだ穴太衆(あのうしゅう)が主人公の物語。戦国時代、難攻不落の城を築くことは必須であり腕の良い石積み職人は浅井、朝倉、織田とあちこちの城づくりにかかわる。囲いだけの石垣ならともかく、石垣の上に櫓まで建ててしまうのだから、自然の石をいったいどうやって組み合わせればがっちりと安定した石垣ができるのか、知らないことばかりで興味深く読めた。戦の場面の地図やお城の写真集が手元にあればもっと理解しやすかったかなと思う。2016/05/13
コリディ
6
7点。今村さんの「塞王の楯」の穴太衆の物語。劇画チックな今村さんほど熱くないが、落ち着いた読みやすい出来。下巻も読み終わっちゃった。誕生日、入院5日目、その後今日、退院できました。2022/08/05
らいおねる
5
下巻では方向性が決まってた市郎太が誰もが知ってる有名な城へと携わっていくのは面白みがあります。そこまで大名と直接話せたかは疑問ですが格式に囚われなさそうな信長とならあり得たのかもしれません。石積みという視点からの切り口は斬新でした。2021/09/19
アメシスト
5
長篠の戦い、安土城の普請の場面は圧巻。松永久秀、六角承禎、三好三人衆らの動きもわかりやすく浅井、朝倉氏と信長の関係性もすっきり。武田氏が滅ぶあたりは大河ドラマ「真田丸」と重ね合わせて読むことができました。突出した物ほど憎悪の対象となるとの言葉に納得しましたが、安土城見てみたかった。市郎太、千草、辰四郎が語り合う場面は号泣。実家近くの小牧城、現在近所の岐阜城も市郎太が関わっていないことが残念。2016/05/20
たに
4
★4 最後があっけなくはあったが…歴史を復習する上でも良かった。しかし、苗の最後とその扱いが可哀想である。2016/04/02