内容説明
これぞ、情熱と知恵、意志の結実!―時代を超えて人知れず佇む近代土木遺産の傑作。達意の文章と写真で発掘する土木造形家の精神。
目次
1章 水辺を歩く(玉川上水;琵琶湖疏水と京都の風景 ほか)
2章 人知れず、ひっそりと(白水ダム;四万十川の沈下橋と森林軌道の橋 ほか)
3章 橋のエンジニア・アーキテクツ(東京の橋を歩く;大坂の町と大阪の橋 ほか)
4章 まちを訪ねて(幻の駅―新橋駅と万世橋仮駅;東京市街線鉄道高架橋 ほか)
5章 風景を考える(見れどもあかぬ風景;水体験の意味論 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s.on.h
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篠原修のみちの記憶という文章がとても印象的。 「作為が道の正統であるにせよ、その現わし方には西欧流の作為誇示型以外の道もあることを忘れていたのだった。つまり作為隠匿型のわが国の伝統である「自ら然(おのずからしかる)」という自然の伝統である。いかにもつくったようにつくるのは嫌われたのである。あたかも自然に成ったかのような作為が好まれる。それが風流心のある設計である。自然のままでは粗野である。しかし作為にとどまっては野暮である。自然に至ってはじめて洗練が生まれる。」 示唆に富んだ情感のある文章だと思う。2021/10/25