三島由紀夫論

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三島由紀夫論

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  • サイズ A5判/ページ数 672p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104260102
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

構想20年、テキストそのものから大作家の思想と行動の謎を解く、決定版三島論! 三島はなぜ、あのような死を選んだのか――答えは小説の中に秘められていた。『仮面の告白』『金閣寺』『英霊の声』『豊饒の海』の4作品の精読で、文学者としての作品と天皇主義者としての行動を一元的に論じる画期的試み。実作者ならではのテキストの深い読みで、その思想をスリリングに解き明かす令和の決定版三島論。

内容説明

最後の作品『豊饒の海』で、なぜ三島は転生や唯識論を盛り込んだ、長大かつ難解な物語を書いたのか?そして、楯の会とは何だったのか?―三島が命を絶った45歳に近づいた著者は、少年時代以来の疑問を解くべく、膨大な作品群と向き合い、その生と死の必然性を「テクストそのもの」の中から見出してゆく。『仮面の告白』、『金閣寺』、『英霊の声』、『豊饒の海』の4作品の精読を通して、文学者としての創作活動と、「天皇主義者」としての行動とを一元的に論ずる。執筆開始から23年、実証性に裏づけられた透徹した分析と考察、実作者ならではの理解によって、三島の生涯と思想をスリリングに解明する決定版三島論。

目次

1 『仮面の告白』論(執筆の背景;「私小説」 ほか)
2 『金閣寺』論(虚実を巡って;「絶対」とは何か? ほか)
3 『英霊の声』論(三十代後半の三島由紀夫;「身を挺したい」もの ほか)
4 『豊饒の海』論(シンメトリー;『日本文学小史』の構造 ほか)

著者等紹介

平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975(昭和50)年、愛知県生れ。京都大学法学部卒。1999(平成11)年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により芥川賞を受賞。著書は小説作品として、『決壊』(芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『ドーン』(第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞)、『マチネの終わりに』(第2回渡辺淳一文学賞)、『ある男』(第70回読売文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

199
平野 啓一郎は、新作中心に読んでいる作家です。三島由紀夫の再来と評された著者の三島由紀夫論、読み応えはありますが、如何せん三島由紀夫作品をあまり読んでいないので、理解するには無理があります。著者曰く、三島由紀夫の作品には濃密なエロティシズムが漂っているようなので、【読メエロ部】員としては、何時か三島由紀夫全集を完読したいと思います。 https://www.shinchosha.co.jp/book/426010/2023/06/16

遥かなる想い

97
平野啓一郎が三島の四作品から 三島由紀夫を 読み解いた作品である。 単なる評伝ではなく、作品を読み解くことにより、三島を語ろうとする試みは 新鮮だが、 その内容は 正直難解に感じる。 だが 読んでいると、四作品の 仮面の告白・金閣寺・英霊の声・豊饒の海の世界が蘇って きて、作家の視点が新鮮で 楽しい。2023/09/21

ころこ

46
著者が受けた三島のファースト・インプレッションを探す旅となっている。政治性や「当為」にはモヤモヤしたものを抱く著者と三島との衝突の帰結を、パブリック・イメージに反して、マイノリティな自認を包摂してくれる〈神的天皇〉の絶対性に見出した三島の1期、4期と2期、3期との間の葛藤の先の境地に重ねている。『豊饒の海』論が真に迫っていて読み応えがあり、日本とは何かが論じられている。とはいえ、多くの読者は解説のような印象を持ったことだろう。言い換えると、正しさの観点の語り口が気になる。クィア理論に配慮があり、実証に拘り2023/06/01

yutaro sata

32
Ⅳ『豊饒の海』論を読み終え、ひとまず完走。あとがきを読むと、三島さんに入っていくことになった経緯が私も平野さんと全く同じで嬉しくなった。 現実からの隔離から始まる特異な生は、その性志向により本質を重視する軌跡を描き、戦争に赴く兵隊たちから脱落した身体は、それを取り返すべく過剰に本物であろうとする。全てが相対的なものに帰する言葉遊びのような思想を嫌い、あくまでも絶対を求める。絶対を託す先は、時には芸術であり、天皇であり、死でもある。それらは複雑に絡み合い、また、迷いの中で揺れる。2023/07/29

原玉幸子

29
表現と言い回しが難解(小説技法が天才的)な三島に憧れる平野だけに、これ又同じ様に難解で、読了にたっぷり1週間超と苦戦しました。忘れもしない、ガキの頃に読んだ最初の三島の作品が『金閣寺』で、当時の私の「三島は美への畏れがある」との感覚的な感想は言葉足らずもいいところで、深みも全くないのが明々白々で恥ずかしい。自身の性(恋愛指向と性的指向の不一致)、戦争、思想信条、戦後の日本の高度経済成長、家族観が絡まり合って作品に反映されていることへの史実も絡めた平野の論評は説得力があります。(◎2023年・夏)2023/06/23

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