出版社内容情報
少年ドラマ、ガリ版、初恋――あの頃を信じる想いが奇跡を起こす。昭和の子どもたちの人生はやり直せる。著者の新たなるメッセージ。
昭和の子どもたちの人生は、やり直せる。新たなるメッセージが溢れる最新長編。元子役の映画監督・小松亘氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマのロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る。その代表者は初恋の相手、成瀬由美子だった……。少年ドラマ、ガリ版、片思い―― あの頃を信じる思いが、奇跡を起こす。
内容説明
僕らの団地がなくなる前に、映画を撮ろう!運命と奇跡のクランクイン。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
208
重松清はほとんどの作品を読んでいる作家です。1年数か月ぶりの新作一気読みしました。本作はノスタルジー団地ファンタジーという感じです。私は団地に住んだことがなく、団地住まいの友人もいなかったので、あまり懐かしさを感じません。無機的な箱型でELVのない4階建てというイメージです。(団地住まいの方スミマセン)また老朽化した団地は、まさに今の日本の状態の象徴だと思います。最近、重松清の作品は、何かノスタルジー系が多いのが気になります。重松清も年を取り過ぎたのかなぁ!2016/01/20
風眠
157
これは「たんぽぽ団地」が見た夢。昭和の頃の賑わい、人と人の繋がり、子どもの声、優しいお節介、初恋、反抗期。かつてドラマの舞台になった「たんぽぽ団地」が取り壊される事になり、そこに住んだ事のある人々(亡くなった人も含めて)の想いが、団地に最後の夢を見させたのだろう。ほのぼのとしていた自治会だよりの内容が、時代を追うごとに寂しい内容になっていく。哀しいけれどそれが現実。「お話」だから何でもありで「お話」だから成立したラストシーン。時を越え全員集合、またねって手を振って、綿毛になってそして、新しい未来が花開く。2016/01/29
ウッディ
123
ノスタルジーとファンタジー、重松清らしい世界観。団地を舞台にした流星ワゴンという感じでした。イジメに立ち向かう気弱な少年とそれを庇うしっかり者の女子、悪役になり切れないいじめっ子。。。誰もが、重松清的な登場人物で、ストーリーも間違いなく、重松清なのだが、涙を誘う場面があまり無く、少し消化不良でした。2017/10/01
そのぼん
118
昔テレビドラマのロケ地として使われた、今は寂れた団地が舞台の物語でした。過去と現代が交錯する感じで物語が進んでいき、すべて理解できたかどうかは微妙なところですが、全体の雰囲気としては嫌いじゃなかったです。団地が取り壊されることが決定し、住人が少なくなっていくなかでも前向きに暮らしていく人々の日常が描かれていました。ノスタルジックな空気感も良かったです。2016/10/10
くろにゃんこ
91
かつては賑やかだった団地も取り壊しが決まり、残る住人もわずかに。40年前にドラマのロケ地となり、みんなで作り上げ盛り上げた想い出、現代ならではの巧妙ないじめ、団地を引き上げた後の暮らしのことなど盛り沢山なうえに時空を超えて~な話もあり、どうやってまとまるのかと思っていたけれど、どうにかギュッとなって終わった感じ(^^ゞ団地に住むお友達たちが羨ましく思えた小学生時代もあったなぁ。古き良き時代という感じ。2016/04/12