小林秀雄の恵み

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  • サイズ B6判/ページ数 414p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104061105
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

ベルグソン論「感想」を中断した小林秀雄が、63歳から11年間、まさに「晩年の仕事」として、人生のすべてを賭けるように書き継いだ『本居宣長』。本居宣長こそ、日本における「学問する」知性=近代の始まりだと小林秀雄は考え、その宣長に自分を重ね、ひそかに生涯を振り返ったのではないか?37歳で読んだこの本に震えるほど感動したことが、日本の歴史・古典と格闘する作家、橋本治を生みだした。小林秀雄という存在を、人生に「学問」という恵みを与えてくれる人として新たに読み解いてゆく愛のある論考。

目次

第1章 『本居宣長』の難解
第2章 『本居宣長』再々読
第3章 「語る小林秀雄」と「語られる本居宣長」
第4章 近世という時代―あるいは「ないもの」に関する考察
第5章 じいちゃんと私
第6章 危機の時
第7章 自己回復のプロセス
第8章 日本人の神
第9章 「近世」という現実
第10章 神と仏のいる国
終章 海の見える墓

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なをみん

3
「学生との対話」から続けて長らくとっておきの一冊に手を付けてみた。いきなり「小林秀雄はいい人だ」の一文で「そうそう!」ってなって後はいつもの長い長い補助線橋本治節を堪能。「読むに値するものをちゃんと読め」っていう思想の小林秀雄が広く人気だったのは、そういう意味では日本の古き良き時代だったのかもしれない。「評論はトンネル」とか書いてあったけど、確かにこれまで氏のトンネルを通じて景いろんな景色を観てきた気がする。橋本治の恵みに感謝。2024/06/29

bull

3
学問の基本は対象と相対する孤独だという。本居宣長は近世の階級社会から離れた所で古典と向き合った。小林秀雄は権威にされながらも、読み解く対象へ真摯に向かった。絶対的な神なき日本で、宣長は漢心(賢しらな解釈)を排して、物のあはれ(感じること)に身を委ねた。小林は近代知性との狭間で「物のあはれ」を巡って自問自答し呻吟した。橋本は「小林秀雄を必要とした当時の日本人の思考の形」に関心があり、それは後半で見事に喝破される。なお「もう一度学問しようかな」と感じさせた「小林秀雄の恵み」は、後の橋本の仕事につながる。2015/06/26

amanon

2
ここ最近ではまれにみる不思議な本であった。本文の中で著者自身が述べているとおり、本当に良く解らない記述が延々と続く。でもなぜかその訳の分からなさに殆ど拘泥せずに、先へ先へとつい読み進めてしまうのは、著者の語り口に引き込まれてしまう故であろう。一読して「うん、分かった」と言えるような代物ではとうてい無い。いずれ近いうちに読み返したい。2009/04/19

hroko

1
著者が、小林秀雄の『本居宣長』を読む。それは「悪路を行くバスの乗客」となって旅するようなものだったらしい。そうして、その「旅」での見聞と感動 -- 「恵み」を示してくれる。 そうして、もっといろいろ、本を読みたい、勉強したいという気分になれる。 素直に、面白かった、読んでよかったと思う。2022/10/30

金北山の麓に生まれ育って

1
橋本治の死を契機に読みました、三島由紀夫と違って小林秀雄は好きだったので夢中になって読みました。橋本治の思い入れと共感がほかの作品と違ってストレートに伝わって大変感動しました。2019/04/13

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