出版社内容情報
「門外不出」を条件に、旧海軍参謀らが行っていた大戦の検証。開戦経緯、特攻作戦の真相、東京裁判――貴重な証言と徹底取材で明かす驚愕の昭和秘史。
内容説明
太平洋戦争の本当の“戦犯”は誰なのか?彼らは何のために戦争を始めたのか?「伝えられている歴史があまりにも事実と違う」―戦後、日本海軍中枢のエリート、約40人が密かに集まり、語り合っていた内容が400時間分ものテープに残されていた。その告白をもとに、遺族、関係者への徹底した取材を行い、明らかになった驚愕の昭和秘史。
目次
プロローグ(「日本海軍400時間の証言」のスタート;海軍という組織と現代日本の組織 ほか)
第1章 超一級資料との出会い(海軍反省会テープ;進まぬ取材 ほか)
第2章 開戦 海軍あって国家なし(秘密の資料;重いリスト ほか)
第3章 特攻 やましき沈黙(「特攻」というテーマへの思い;番組共通の「巻頭言」 ほか)
第4章 特攻 それぞれの戦後(取材班への参加;回天烈士追悼式 ほか)
第5章 戦犯裁判 第二の戦争(番組との出会い;語られた海軍の“戦争責任”―豊田元大佐の告白 ほか)
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
24
失敗から学ぶ。本当に先の大戦を、事実に基づいて振り返ることができているのだろうか・・・。扇元大佐の『やましき沈黙』。現代人は当時の海軍を責めることができるかな・・・?いまだに身近な問題のような気がする。「時の空気」!?。 ”11.6%”、”2%”!(特攻の”空”と”海”の命中率)それで片付けられるにはつらい数字・・・。「必死」って安易に使っちゃいけないよなぁ、と再認識する。それにしても、あるご遺族の子息のコメント、「単なる反戦平和で終わらせないで欲しい。」も心に残る。2012/09/08
かいゆう
20
海軍の中枢にいた高級士官たちが、戦後密かに集まって開かれた「海軍反省会」。その内主に、開戦、特攻兵器開発、戦犯裁判について取り上げられている。家族のために、日本のためにと戦って戦死された方、巻き込まれた被害者には、とても見せられないと思った。特攻に赴き生き残られた方が「日本は平和で繁栄しています」と、突撃して亡くなった仲間の墓前で語っていた事だけが、救いだろうか。「組織と個人」「間違っていると思っても口には出せず、そうした空気に個人が呑み込まれていく」その組織の体質が全てを生んだのだと思った。2014/08/30
ひろ☆
20
「海軍反省会」戦後35年経過した昭和55年から11年間、 海軍の中枢メンバーが中心となって秘密に集まっていた会合。 組織に生きる人間として、戦争回避を言い出せなかった。言えば、国賊と呼ばれる。 この時代、この環境は、縦割り社会で、上の言うことは絶対。そして、上も責任を取らない。。 上に立つものたちは、自分たちの欲、自分の命が大事。予算をつぎ込んで、今さら、戦争に負けるとは言えないから、やる。 戦略も原状判断も適当に、なんとかなるだろうみたいな流れで戦争へ。下の人間はたまったもんじゃない。2014/08/19
澄
15
「海軍反省会」より戦時中、また戦後の裁判の旧海軍の対応を調査したドキュメンタリー。海軍の予算増強のために開戦を勧めたと聞いて唖然とする。組織内の空気によって事が決断されり、終戦後の裁判では海軍相を無罪にするべく、偽りの証言をし、現場に責任をなすりつけたりする行為は今の日本の社会にも蔓延っている習性は、今後も治ることはないのであろう。2014/08/10
三平
14
戦後数十年たった頃、内密に海軍士官たちが集まって行われていたあの戦争の反省会の録音テープ。その中には今まで明らかにされていなかった海軍内部の開戦、戦時中、そして戦後処理の中での愚かな行為の数々が語られていた。 おかしいと思いながらも沈黙を守り、国の存亡や人の命よりも組織を優先し、愚行に手を染めた彼ら。何が彼らをそうさせたか。探っていく内に明らかになったのは、組織の中では拍子抜けする程よくある歪みがその根源。過去を元に、現在を改めて見つめ直すことに立ち返させられるノンフィクションだった。2016/08/12