出版社内容情報
誕生と死。孤独。時間。声の響き。70年に及ぶ詩作から自選し、書下しを加えた31篇。88歳を迎えた詩人の今が結晶する最新詩集。
内容説明
誕生と死。時間。途上の感覚。忘却の快感。声のひびき。『二十億光年の孤独』以来の豊かな詩世界が結実する。未収録作+書き下ろしからなる31篇の最新詩集。
目次
あさ
香しい午前
退屈な午前
イル
この午後
その午後
にわに木が
階段未生
この階段
路地
十四行詩二〇一六(日々のノイズ;詩人の死;明日が;新聞休刊日;川の音楽;人々;夜のバッハ;六月の夜;泣きたいと思っている;蛇口;「その日」;窓際の空きビン;汽車は走りさり わたしは寝室にいる;顔は蓋;朕;色即是空のスペクトラム;何も;裸の詩;言葉と別れて;詩の捧げ物;どこ?)
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年東京生れ。詩人。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来二五〇〇を超える詩を創作、海外でも評価が高まる。多数の詩集、散文、絵本、童話、翻訳があり、脚本、作詞、写真、ビデオも手がける。1983年『日々の地図』で読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、2016年『詩に就いて』で三好達治賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
232
米寿とベージュをかけるなんて、いくつになってもお洒落で過激。言葉の一粒一粒が五感に染み込んでくる。読書人には、この一節を捧げます。「いすにすわって、むかしのひとの、ほんをよむ、ことばは、いま、うまれたばかり、みたい、といかけられていないのに、わたしではなく、わたしのいのちが、こたえている」2020/10/05
アキ
85
手に取ったときに手触りのいい詩集。ひらがなだけの詩や、約70年前の詩と対の詩など31篇の詩がちりばめられている。「あさ」「イル」「その午後」「にわに木が」など、年を重ねてきて感じる境地のようなもの、「人々」「夜のバッハ」「六月の夜」の人間と社会、「色即是空のスペクトラム」「何も」「裸の詩」「言葉と別れて」「詩の捧げ物」での詩人と詩と言葉、最後に「どこ?」でわたしのいない世界へとつらなる。「川の音楽」が好み。米寿の著者はベージュという色が嫌いではない、そうです。2020/10/07
けんとまん1007
77
やっぱり、谷川俊太郎さんは谷川俊太郎さんなんだ。なんだか、もう仙人の域に達しているようにすら感じてしまう(勝手な思い)。谷川俊太郎さんにとっての言葉の意味を、何となくではあるが、感じた。いくつかの傾向に分かれた詩集だと思うし、自分なりに響くカテゴリーがある。それでいいのだと思う。いのち、ことば、存在。あとがきの最後を読んで、ベージュのオチもあって、やられた!2020/10/15
seacalf
75
米寿を迎えた詩人、谷川俊太郎さんの洒落たタイトルの詩集。数ある収録作品の中で今回は『階段未生』と『この階段』がとてもよかった。谷川さんの描く情景に身を委ねながら、いつしか自分自身の経験や思索の旅へと移っていく感覚が好き。いつか再読したら、きっとその時の気分でまた違う作品が自分に語りかけてくれるだろう。すべての作品に呼応することはなくても、いつだって新しい発見と心をリフレッシュさせる効果がある。谷川さんにはそんな絶対的な信頼感がある。2021/03/06
榊原 香織
68
ベージュ、米寿、あ、なるほど。 詩は若い人だけのものではない ”泣きたいと思っている”という詩がかっこいいかな2022/07/16