内容説明
一九七九年に起きた一人の若者の死。その状況と原因をめぐって、それぞれの関係者が推理するその口から、また新たな物語が紡ぎ出されていく。懐古にふけっていたはずの彼等は、いつしか自分たちで作り上げた迷宮に踏み入っていく…。言葉によって構築される現実の脆さとそこに潜む謎を描いて一気に読ませる、気鋭の力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
2
推理小説や幻想小説としての面白さもさることながら、ここで語られている哲学的、宗教的な話が興味深かった。衒学的な雰囲気の小説がわりと好きなのかもしれない。2014/07/18
がんちゃん
1
読んだのは集英社文庫版2003年5月25日第1版。初出は1993年らしいから既に30年経過。野間文芸新人賞受賞作。その後メタミステリーといわれる氏の著作はほぼ読んでいるが、その原点的作品なのか。ただ私自信が衒学的な話題に興味が薄れた現状では読むのが辛かった。島田雅彦の解説が面白かった。2024/11/25
sundance1973
1
ずっと読みたかった一冊。文庫は出ているけれど、お気に入りの作家はハードカバーで欲しいのです。大学の同窓生たちの何気ない日常から探偵小説、怪奇小説と作風がシフトする不思議な語り口の中で、死と宗教をめぐる考察が繰り広げられる。これで長編だとシンドイが、このくらいの分量(中編かな)ならば、この適度なヘビィさが心地いい。2014/12/22
chat noir
1
冒頭に『死』という事象に対する対する捕え方の記述があり、物語は恩師の死から始まって、大学在学中に亡くなった仲間の男へ焦点が移ります。登場人物四人の議論と回想で物語は進み、ミステリ要素もあって楽しめます。物語の収束の仕方には賛否両論あるとは思いますが、私はノスタルジックで哀愁のある終わり方だと感じました。2009/07/18
慧
0
★1/2