内容説明
「敵襲っ!」早暁、静寂をつんざいて開始されたソ連軍の一斉掃射。ポツダム宣言受諾を受け、日本軍が引き揚げの準備をしていた千島最北端、ソ連との国境の島は生き地獄と化した―。悲壮な決意を胸に迎え撃つ日本軍、突撃する戦車連隊、上空からは敵弾が驟雨のように降り注ぐ。終戦後に侵攻してきた北の大国との三日間の戦闘を、生き残った元兵士たちの新証言、新資料で再現する。
目次
第1章 油槽船の怪
第2章 「玉砕の島」を経て
第3章 北方の最前線
第4章 第九十一師団
第5章 諸刃の日ソ中立条約
第6章 決戦占守島
第7章 軍使は二人いたのか
第8章 一犬虚に吠え、白熊貪食す
著者等紹介
大野芳[オオノカオル]
昭和16(1941)年、愛知県生まれ。明治大学法学部卒。雑誌記者を経てノンフィクション作家に。『北針』で第1回潮賞ノンフィクション部門特別賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
11
ソ連の卑劣な対日参戦に伴い、さいはての占守島で赤軍を迎撃した第九十一師団の戦記。北海道を守る結果に繋がった将兵達の凄絶な奮戦とソ連が日本の敗戦に際してシベリア抑留をはじめどれほど非道な行いをし、それが暴力がものを言う国際政治の中では起きても不思議ではなかった残酷な現実を現代日本人はもっと知るべきだろう。北方領土が還らない限りは北辺の戦後は終わらず、この戦いも遠い歴史の一コマにはならない。最果ての地に帰郷を夢見つつ斃れた将兵達を思いつつ。70年前に絶望的な対ソ戦が生起していた今この時期に再読。2015/08/13
くらーく
0
日露戦争で戦った国を、どうしてそこまで当てにしたのか、いまだに不思議なのだが。8月17日で戦争が終わったと思ったのは日本であって、ソ連はまだ戦時中の意識だったのかねえ。 本当にこの戦闘で亡くなった方は気の毒としか言いようが無い。でも、またそれが運命だったのだろう。 お蔭で、私は北海道に生まれ育ち、こうしてだらだらしていられる。感謝だなあ。それと、だめな組織では、だめな奴ほど優遇され、優秀な人が現場で苦労し、戦死するのはお約束なんだね。2015/07/25
鐵太郎
0
この戦いがなければ、北海道の半分から北はソ連領となっていたかも知れない。でも、こんな無駄な戦いをしなければ、ソ連ともっと平和な関係を築けたと言う人もいる。戦争が終わり、ようやく家に帰れると思った将兵を死地に追いやり、シベリアで辛酸をなめさした価値はあったのだろうか。シベリア抑留ののちに、ソ連の温情ある取り扱いに対して感謝決議をしようと言いだした人だっているそうな。いろいろな話があります。いろいろ言う人がいます。でもね、僕はね、こうして日本を、銃後の人を、家族を守るために戦ってくれた人に敬意を払います。2008/08/15
dart
0
タイトル通りポツダム宣言受諾後に占守島に侵攻してきたソ連軍との戦いを主軸に語られていく、しかし著者の狙いは後半の、停戦交渉のくだりにあったのかとも思える。昔の男性は寡黙な人が多かったようで、取材に苦労した後が偲ばれます。文章は少し読み難い部分がありました。ともあれ、ソ連の領土欲の強さは、強欲とも言える恐ろしさです。現代日本の政治家がロシアに対抗しうる術がないのも仕方ないのかも知れません。2012/03/14
文月あやと
0
今の露助も十分信用ならねえな。最後の日共のクソ加減にあきれた。時代変わろうがアカはクソに違いない。2010/08/27
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