出版社内容情報
小説家が自己の内面や人情を描く瞬間に生じる「言葉の技術」を、馬琴、漱石、一葉らの代表作を取り上げ徹底的に論じた記念碑的大作。
小説から技術を抜き去ったら、一体どれほどのものが残るというのだろう? 小説を、個人的な思い込みや既成の風評にしたがって読むのではなく、書かれた文章を徹底的に読み込んだ上で、作家の無意識の領域にまで想像力を馳せていく著者が、馬琴から逍遥、紅葉、二葉亭、鴎外、一葉、藤村、漱石、秋声、芥川、谷崎、横光、尾崎翠たちの代表作を、「技術」の視点から論じた、日本文芸評論の記念碑的大作。
内容説明
『八犬伝』や『金色夜叉』の作品構成を支えた「偸ち聞き」の技術とは?『たけくらべ』の美登利の心変わりにおける「突然」と「偶然」の相違とは?『破戒』の「告白」は、作中の「描写」といかなる技術関係を結んだか?『道草』の夫婦の気持の齟齬は、どのような文章技術によって描かれたか?『あらくれ』のお島を「あらくれ」娘に作り上げた創作技術のポイントは?『第七官界徂徨』のしぐさ描写で見えてくる「新感覚」の技術世界とは?名作の創作技術を著者ならではの緻密な豪腕で論じ、小説の読み方の根幹を築いた代表作。
目次
序文 「日本小説技術史」にむけて
第1章 「偸聞」小説の群れ―馬琴「稗史七則」と逍遙・紅葉
第2章 二種の官吏小説―二葉亭四迷『浮雲』と森鴎外「ドイツ三部作」
第3章 「突然」な女たち―樋口一葉の裁縫用具
第4章 「自然」を見る・嗅ぐ・触る作家たち―独歩・藤村・花袋・泡鳴
第5章 反りの合わぬ夫婦たち―夏目漱石のフォルマリズム
第6章 志賀直哉の「コムポジション」と徳田秋声の「前衛小説」
第7章 妄想のメカニズム―芥川龍之介と競作者たち
第8章 「文」はどのように「人」めくのか?―鴎外の「史伝」と谷崎の「古典回帰」
第9章 男たちの「格闘」に「女の子」の仕草を添えて―横光利一・尾崎翠
著者等紹介
渡部直己[ワタナベナオミ]
1952年東京生れ。早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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