内容説明
ふり積る雪は透明な哀しみ壊れやすく傷つきやすい愛のかたち。恋人、夫婦、親子。いつかは別々に流れていかねばならないはかなさ。期待の新鋭のみずみずしい短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
45
静謐な物語と言いたいのですが、私には合わない作品でした。4つの短編の男性側が別々の人ながら、すべて絵を描く人というのが何かを表しているのかもしれませんが、理解できず。すべての主人公たちが同じ感性の人のようで、周りに目が向かず自分の殻に閉じこもってしまっているよう。表題作の「雪の絵」の幼い子どもたちの事を考えると切なくて辛かった。2016/09/19
橘
26
小川洋子さんのエッセイでか書かれていて、気になった作品です。小川作品と似た空気を感じました。ひたひたと静かに、心が沈み込んでいく感覚です。狂うまではいかなくても、生きづらいです。「別々の皿」がとても気になりました。生きづらくとも、生きていこうと思います。他の作品も読みたくなりました。2017/10/30
あんこ
24
どの物語も、静けさとともにそれぞれのイメージが浮かんだ。時々、淡々とした会話の中で突き刺さるような言葉を感じた。決定的な別れや終わりは描かれていないのに、それを暗示するような不透明さ。表題作「雪の絵」と「雨の中で最初に濡れる」が印象的だった。もっと深く沈んでいたいと思わせられた物語群。2014/10/12
松島
18
“雨の中で最初に濡れる〝を読みたくて。 まだ少し湿っています。雨がこの場所を選んで腰掛けたみたいに2020/09/09
sasa-kuma
16
「別々の皿」「雪の絵」「秋の指輪」「雨の中で最初に濡れる」の4編。日々の中のある一部分をはさみでチョキンチョキンと切り取ったような物語。人と人が完全に理解しあうことは難しいと改めて悟る。とても好きな本。2014/11/13