内容説明
上田秋成から山田詠美まで。もっともっと本が読みたくなる、軽やかな作家論。
目次
上田秋成―雨月と春雨の間
セーレン・キルケゴール―神を前にしての絶望は罪である
森鴎外―文学の設計者
内田百〓―生活と悪夢の人
日夏耿之介―詩人としての日夏耿之介
アーネスト・ヘミングウェイ―あまりにも二十世紀的
中島敦―知性と南風・二つの仮定
ロレンス・ダレル―都市と恋情
吉田健一―小説からの逸脱
中村真一郎―1つの精神の数々の側面〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
20
たまたまレニー・クラヴィッツを聴きながら読んでいたからこんな感想を持つのかわからないのだけれど、池澤夏樹の評論は「ヘタウマ」というか「ローファイ」だなと思う。既存のキャッチーな理論/理屈を使わず、全部自分の頭に落とし込んだ上でそこから言葉を発しているように思うのだ。だから使い勝手が悪いというか、洒脱な批評家の理屈のように応用が効くわけではない。だが、そうして自分の臓腑から語っているだけ凄みがあり読ませるし、読者を作家の作品に誘導させる魅力もあるのだろうと思う。池澤夏樹は批評家として一流なのではないかと思う2021/10/27
金北山の麓に生まれ育って
0
【知識人自認の自尊心を感じる】知らない作家等は飛ばしました(例:トマスピンチョン)、アンゲロプロスのマニアを自認するところから入って「踊る猫さん」のレビューで気になって手に取ってみました。漱石か鴎外かという二分法が私の中であって鴎外派だろう、鴎外への言及には恐れ入った著者はまるで鴎外の分身のようで、鴎外の章より日夏朱秋之介の章の方が鴎外論としては面白いという不思議さ。中島敦の章は全集の解説で再読、知識人論に透けて見えるご自身の自負が痛々しい、明治まででは知識人が成立したのは舶来品が重宝された時代まででは。2021/12/22
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