出版社内容情報
乃南 アサ[ノナミ アサ]
著・文・その他
内容説明
庵原かのんは福岡家裁北九州支部の少年係調査官。恋人を東京に残して、罪を犯した少年少女や親たちとの面会を繰り返す中で、やがて彼女はあまりにも厳しい家庭の事情や優しくない社会の現実に直面していく…。地方都市での家裁調査官の活躍を通して、令和日本の姿を浮かび上がらせる名作誕生。
著者等紹介
乃南アサ[ノナミアサ]
1960年、東京生れ。早稲田大学中退後、広告代理店勤務などを経て1988年、『幸福な朝食』で日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞し、作家活動に入る。1996年に『凍える牙』で直木三十五賞、2011年に『地のはてから』で中央公論文芸賞、2016年に『水曜日の凱歌』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
324
乃南 アサは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 女性の家裁調査官主人公の新シリーズ、2年間の徹底取材のせいかもあって、現代の少年少女の闇を巧く切り取って、寄り添っていました。シリーズの次回作も楽しみにしています。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000683.000047877.html2022/09/25
いつでも母さん
186
乃南作家の新しいシリーズの幕が上がった。庵原かのんを通して家裁調査官の仕事を知る。連作7話。各々の事件から見えるものは正直キツイ。私には向かない職種でもあるが面白く読んだ。続編も必ず読むのは決まりだ。次は違う事件で違う当事者の話になるのだろうが、今は本作で出会った彼ら‥少年少女たちのその後が気になって仕方がない。2022/09/26
まちゃ
172
家裁調査官・庵原かのんが事件を起こした少年少女の“声なき声”に耳を傾け、彼らが抱えた問題の解決に奔走するお仕事小説。それほど驚きはないですが、安心して読める2時間ドラマのような物語。こういうの嫌いじゃありません。楽しめました。2022/10/25
のぶ
168
乃南さんの新シリーズらしく、今後続いていく事を思うと面白い人物を作り上げたと思う。主人公はタイトルにあるとおり庵原かのん。恋人を東京に残して、北九州市で少年係調査官をしている。本作はかのんの活躍を描く7つの事件簿。少年少女の様々な理由で問題を起こし、家裁を訪れる少年少女や保護者たちをテーマにした事件簿。少年院に送られる前に児童相談所で、面会し事件の真相を探っていく。それらの事情には貧困、毒親、虐待等まわりの環境が絡んでいて一筋縄ではいかない。かのんのキャラは魅力的だが物語に面白さを込めると良いと思う。2022/09/08
モルク
162
北九州の家庭裁判所少年調査官のかのん。彼女の担当する事件と少年に向き合う姿を描く7編の連作。それぞれの事件の裏には少年少女達の悩み、家庭環境、まわりの大人たちとそれに対する不信感など複雑な事情が絡み合う。それをほぐしていき、彼らの本音に近づくかのん。少年が少年らしくいられるようにしてあげたなら…。1件終わったら次の案件ではなく、いくつかの案件を抱えているのだろうから大変。中途半端になってしまっている話もあるが、事実そういうことも多いのだと思う。さあ、続編も読んでみよう。2023/09/17