出版社内容情報
探偵作家と外交官。若き二人が友となり……斬新な発想で描く波瀾万丈の物語。大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」――泣ける傑作。
内容説明
名もなき若者だったが、夢だけはあった。探偵作家と外交官という大それた夢。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく…。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、歴史を変え、互いの人生が交差しつつ感動の最終話へ。
著者等紹介
青柳碧人[アオヤギアイト]
1980年千葉県生れ。早稲田大学卒業。2009年『浜村渚の計算ノート』でデビュー。『むかしむかしあるところに、死体がありました。』で第十七回本屋大賞にノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
229
★第173回直木賞候補作第四弾(4/6)です。青柳 碧人は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、著者の新境地にて意欲作、実在の推理小説作家が多数登場し、オールド推理小説ファンは、楽しめます。物語の舞台の早稲田 三朝庵には行ったことがあります。但し、直木賞と言うよりも、江戸川乱歩賞のイメージでした。 よって直木署の予想は、ステイです。 https://bookmeter.com/mutters/283220658 https://www.shinchosha.co.jp/book/356271/2025/06/19
パトラッシュ
199
探偵小説の開拓者江戸川乱歩とユダヤ人への命のビザ発給者杉原千畝。旧制中学と早稲田で先輩後輩だった2人が偶然友人となったのを契機に、彼らを中心に有名無名の人物との出会いと別れが繰り広げられ、日本近代史のドラマが万華鏡のように展開する。知的な杉原を乱歩が明智小五郎のモデルとし、乱歩を探す杉原が浅草で会った変な外人とカウナスで再会する。彼らがいたからこそ多くの人が歴史に名を残し、あるいは新たな一歩を踏み出す姿が鮮やか。青柳流のひねったミステリ色はないが、あり得たと思わせてしまうエンタメとして出色の作品といえる。2025/06/10
ちょろこ
139
神作品の一冊。その一言を捧げたい。江戸川乱歩と杉原千畝。青柳さんによって今、命を吹き込まれたかのような二人の自然な出会い、時代と人間関係、そして人生岐路での心情全てが違和感なく滑らかに紡がれ結ばれていく過程に何度も感嘆の吐息がいっぱい。特にユダヤ人へ命のビザを発給する千畝の揺れる心情と決断はリアル感を伴い、胸を打たれ読んで良かったと思えた瞬間だった。乱歩と千畝、生きる場所異なれども求められるままの自分に対しての鬱屈、妻たちの支えの重なりもお見事。"友"という大きなリボンで結ばれたような創造の輪にただ感涙。2025/06/12
ヒロ
94
江戸川乱歩と杉原千畝、二人を中心に大正から昭和の歴史の移り変わりと様々な出来事が起こって、徐々に時代が世界対戦という暗い時代に変わっていく様子がホントにリアルに感じました。でも何よりも歴史好きには色々新たな知識も沢山吸収出来て良かったです。日本で初めてカツ丼を作った三朝庵、岡本太郎の父の岡本一平、若き日の横溝正史等、読んでいておーってなるような人が多かったです。そんな中でやっぱり江戸川乱歩がどのように影響を与えていったかとか杉原千畝が何をしたかとか、その辺りをワクワクしながら読めたのが良かったです。2025/07/14
ゆみねこ
94
とても面白かった。江戸川乱歩と杉原千畝、この2人に作中のような接点があったのかもしれない、そう思わせられるような物語の巧みさ。たくさんの作家や政治家も登場する。青柳さん、1冊読んで合わなさそうと敬遠していたけど、直木賞候補作とのことで読んでみた。これは一読の価値あり、もしかすると受賞するかも?2025/06/28