出版社内容情報
僕らは今、たやすく孤独になってしまう――自由な時代、不自由なこころ。行方不明の自分を探して、臨床心理士との夜の航海が始まる。
内容説明
家族、キャリア、自尊心、パートナー、幸福…。あらゆる悩みに耳をすませば聞こえてくるのは「ひとりぼっち」という苦しみだった。人生には迷子になってしまう時期がある。そんな時に助けてくれる7つの補助線。紀伊國屋じんぶん大賞受賞の臨床心理士が贈る、新感覚の“読むセラピー”。
目次
1章 生き方は複数である―処方箋と補助線
2章 心は複数である―馬とジョッキー
3章 人生は複数である―働くことと愛すること
4章 つながりは複数である―シェアとナイショ
5章 つながりは物語になる―シェアとナイショ2
6章 心の守り方は複数である―スッキリとモヤモヤ
7章 幸福は複数である―ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純
著者等紹介
東畑開人[トウハタカイト]
1983年東京生まれ。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、現在、白金高輪カウンセリングルーム主宰。博士(教育学)・臨床心理士。著書『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kou
127
読みながら、著者と一緒に、夜の海を航海し、無人島でサバイバル、スフインクスからの問いの答えを探す冒険をしている気持ちになる不思議な感覚だった。実際に、カウンセリングを受けている時、こんな感覚になるのだろうか?定期的に何度も読み直したくなりそうな一冊だった。2022/07/12
ネギっ子gen
101
世間の悩みに耳をすませば、聞こえてくるのは「一人ぼっち」という苦しみだった――。<大海原に放り出された小舟たち。それがカウンセリングルームのベランダから見える社会の風景です/小舟はいかにして方向を見出し、いかにして航海をしていくのか。言い換えるなら、この自由で過酷な社会を「いかに生きるか」。これがこの本のテーマです/言葉は心に補助線を引きます。それはあなたの心を整理して、前とは違ったように自分と世界を見ることを助けてくれる>と。『居るのはつらいよ』で大佛次郎賞受賞の臨床心理士が、心の中のドラマを描く!⇒2022/08/16
KAZOO
99
この作者さんは初めてですが、朝日新聞に時たま寄稿されている文章を読んで手に取ってみました。カウンセリングがご専門ということですが、非常に読みやすくそのようなことをあまり感じさせないものになっています。様々なケースが語られていますが、物語を読んでいるような気がします。また最後の参考文献を読んでみようという気になりました。2025/03/22
Kanonlicht
75
臨床心理士の著者による、やさしい精神分析指南書。一昔前は社会という大海原を、親族や会社などの大船に乗って航海することができたけれど、親戚・家族関係の変化や、年功序列・終身雇用の崩壊によって、個人がそれぞれの小船で漕いでいかなければならなくなった。そこから生じるさまざまな心理的負荷を、一つひとつ丁寧にひも解く。人と人の関係はときに軋轢を生むものの、人はやっぱり一人では生きていけない。2023/08/27
shikashika555
65
事例で取り上げられたミキさんとタツヤさんのエピソードが大きすぎて、圧倒されてしまった。 人間は変わる生き物で、常にどこかは以前と違う。 それでもその変わり方というのはとてもとてもゆっくりでまどろっこしくて、変わり目がわかりにくいものなのだ。 やや改変が加えられているとはいえ、こんなドラマチックな転換点に立ち会えることなんてそうそう起こらない。ものすごい話でした。 「シェアとナイショ」「ポジティブとネガティブ」の例えが新鮮だった。 2022/05/03