出版社内容情報
小林秀雄が最も愛したモーツァルト。晩年に深く傾倒したブラームス。音楽の精神に育まれた小林秀雄の批評の本質に迫る評論集。
内容説明
一九八二年十二月二十八日、夜―。小林秀雄はもはや、音楽を聴く体力も気力も失い、病床に臥せっていた。その小林秀雄の耳に、戦後まもなく、日比谷公会堂で聴いて震えたあのヴァイオリニストの音色が、テレビの電波に乗って届いたのだ。彼は身を起こし、一階に降り、妻と並んで奇蹟のプログラムに耳を澄まし続けた…その二ヶ月後であった、一九八三年三月一日、小林秀雄は八十年の生涯を閉じた。愛読三十余年の気鋭が描く近代批評の創始者の生涯にわたる音楽との宿縁!
目次
契りのストラディヴァリウス
小林秀雄の「時」―或る冬の夜のモオツァルト
ブラームスの勇気
著者等紹介
杉本圭司[スギモトケイジ]
1968年、北海道生まれ。大学入学後、舞台芸術の世界に没入し、11年間の創作活動を経て2001年、小林秀雄研究を志す。2013年4月、『考える人』に「契りのストラディヴァリウス」を発表してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
34
音楽と小林秀雄が好きなら、この本は最高だ。特に、最終章の「ブラームスの勇気」が秀逸。「「本居宣長」は、ブラームスで書いている」という一文に込められた深い意味とともに、見事な小林秀雄論が展開する。「批評とは、他人の作品をダシに使って自己を語る」ことだと言い放った小林さんが、晩年に「述べて作らず、信じて古を好む」境地で本居宣長を語る背景には、ブラームスがいたのか…。「誰がわかるもんかい、ブラームスという人のね、勇気をね、君!」…小林さんの啖呵に、「ちゃんとわかるよ」と答えたい。この本はいい。絶対のお奨めです。2019/11/18
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