内容説明
決定的に新しい青春小説の誕生!!高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。光溢れる都市の秘密を記録しながら―。第161回芥川賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
272
8月の第一作は、第161回芥川賞受賞作・候補作シリーズ、ようやくスタート(1/5)です。前候補作の『平成くん、さようなら』に続いて古市 憲寿、2作目です。本作は、タワーマンション盗撮ファンタジーでした。他候補作はこれからですが、タイトルも雰囲気があり、受賞でも良い感じがしました。タワーマンションの窓ガラス清掃のゴンドラで盗撮をする人はいても、フ●ラ●オをする人はいないと思いますが(笑) 【読メエロ部】 2019/08/01
旅するランナー
152
窓をかっぱいでいく、窓清掃の青年を描く、社会学者2作目の小説。窓や鏡に精神世界や人生観を見て取る、深い洞察力がさすがです。めげずに芥川賞目指して、書き続けてほしいです。応援したくなってきました。 2019/08/19
ナイスネイチャ
115
図書館本。ビル窓ガラス拭きの主人公。ビルの住人を盗撮するように指示する世間から隔離し生活する金持ち老婆。徐々に世間から自分の立ち位置を取り戻していく。格差社会とか引きこもりとかを取り入れた小説で引き込まれました。2019/09/08
テクパパザンビア
101
面白かった。「平成くん」よりこっちの方がメルヘンぽくって好きです。タテタテヨコと窓をかっぱいで見ないと良く見えない物があるんですねぇ、悪魔の鏡越しで世間を見ていた自分に反省します。 2020/03/31
なゆ
100
あれ?これ書いたの、本当に古市さん?なんかとても好きなんですけど?“平成くん”よりもずっとずっと、純粋によかった。タワーマンションでゴンドラに乗ってガラス清掃していた翔太は、住人のお金持ちの老婆に妙なお願いをされてしまう。“たくさんの窓の中を記録(盗撮)してほしい”と。箱に埋め尽くされた薄暗い老婆の部屋に通いだす翔太。老婆と過ごす時間、造られてゆく箱の街、一見とりとめのないような会話さえ豊かに感じられてくる。人生に投げやりだった翔太の内面の変化も嬉しい。窓の中の街と外の街の夜景の空間を映像でみてみたい。2019/10/16