出版社内容情報
字には書けないけど、私には読めた――お母さんの秘密を。カーテン越しに世界に触れる少女の心象を描く、初の文芸誌掲載作品!
内容説明
私は書けないけど読めた。お母さんの秘密を。行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。第164回芥川賞候補作。
著者等紹介
尾崎世界観[オザキセカイカン]
1984年11月9日、東京都生まれ。2001年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。12年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。16年、初小説『祐介』(文藝春秋)を書き下ろしで刊行。他の著書に『苦汁100%』(文藝春秋)、『苦汁200%』(文藝春秋)、『泣きたくなるほど嬉しい日々に』(KADOKAWA)。対談集に『身のある話と、歯に詰まるワタシ』(朝日新聞社)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
296
第164回芥川賞候補作 既読4/5、尾崎世界観、初読です。 芥川賞候補作っぽい作品ですが、昭和の母子家庭の物語、あまり新鮮味がありません。 https://www.shinchosha.co.jp/book/352142/ https://www.creephyp.com/feature/omokage 2月は、本書で読了です。2021/02/28
旅するランナー
254
小学生の少女の目を通して見えてくる世界観。子供が感じる孤独、喜び、母への思慕、変タイな大人の世界が、物悲しく描かれます。影の描写が素晴らしく、その意味でタイトルが秀逸です。この何とも言えない読書感は何なんだろう。2021/03/21
いつでも母さん
195
幸せは自分の心が感じる。人と比べる意味はない。小学生低学年の私の世界は、自分の見える範囲、手に触れる範囲、声の聴こえる範囲なのだ。その世界の中で母と共にいることが絶対で自分の命と等しく、幸せなのだ。誰かが私を下に見て、バカにして憐れんでそれが一体なに?母と私の全ては今。危ういのは時の流れか。現実と想像の狭間で私は大人になっていくのだろう。それでも幸せと思うに違いない。幸せっていったい何?ー初めての尾崎世界観、あぁこの感覚は私の苦手な感じかも…(汗)そんなこと思ってしまった。2021/03/03
いっち
134
主人公は小学校低学年と思われる女子。母は性的サービスのあるマッサージ店で働いているが、主人公はそれを知らず、カーテンを隔てた隣のベッドで、カーテンに映る母の影を見ている。客の「あるんでしょ?」の声が聞こえ、主人公は「知らないおじさんが探し物をしている」と考える。性的サービスがありながら、店で働く間に娘を隣にいさせる母はどうかしてるし、店側もおかしい。いくら知能が遅れている母親とはいえ。ただ、純粋で繊細な言語感覚のある主人公が良い。無知な主人公が母の仕事を知ったとき、どう感じて、どう行動するのか気になった。2021/01/30
美紀ちゃん
120
私の中で尾崎世界観はクリープハイプのvocal.guitarという認識の方が強い。 音楽をよく聞くし、 フェスなどで、生でライブを見た事がある。 だからどんな本を書くのか?楽しみに読んだ。 尾崎世界観はライブのMCではハッキリとモノを言うのに、この本ではやんわりしている印象が強く、イメージにギャップがあった。 これはしっかりと文学作品だった。 なるほど芥川賞候補になりそうな文章だと思った。 尾崎世界観が多才で、素晴らしいと思った。2021/02/20