出版社内容情報
ほどいてつないで私はもう一度踏み出せる。出会いも別れも愛おしくなる物語。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ――いまは人生の迷子になってしまったけれど、あなたの道しるべは、ほら、ここに。もつれた心を解きほぐす、ぬくもりに満ちた全五篇。
内容説明
「おつやのよる」祖母が急逝し、葬儀のために親族が集まる。清陽は祖母に交際相手を紹介できなかったことを悔やむが、原因はその親族にあって…。「くろい穴」美鈴は不倫相手から栗の渋皮煮を作ってほしいと頼まれるが、そもそも食べたいと言っているのは、彼の妻だった。日曜日、ひたすら栗を煮詰めていると…。ままならない人間関係、避けられない別れ―もつれた心を解きほぐし、本当の自分を取り戻すための、5つのやさしいレシピ。
著者等紹介
町田そのこ[マチダソノコ]
1980年生まれ。2016年「カメルーンの青い魚」で第十五回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。17年、同作を含む短篇集『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
764
人生を生きる上で何らかの悩みを抱える若いヒロインたちが、主におばあさん・目上の女性に助けられて迷う心に仄かな希望と光明を見出し次の一歩に踏み出していく5編の短編集です。物語の途中ではヒロインが人生に絶望し不甲斐ない自分が情けなくなり落ち込みそうな重苦しい展開もやむなしと思える話でも著者は決して暗い話にはせずに明るい気持ちを失わせずに最後には前向きな方向性を見出させてくれて前へ前へと進ませてくれるのですね。似たような悩みをお持ちの方は本書を読む事で困難な問題に立ち向かう上での重要なヒントをもらえるでしょう。2023/03/12
ろくせい@やまもとかねよし
648
捨てられない気持ちにそっと寄り添う5つの利他。5つの短編が収録。すべての主人公は女性。彼女らは自分を守る利己的ふるまいと家族、恋人、友人、知人へ向けた利他的ふるまいを天秤にかけ選択した利己に後悔を。利己にまかせ利他を蔑ろにしたこと。感情を抑えられなかったこと。やっぱり後悔を捨てきれないこと。支えるは、祖母の死、近所で噂のオーケストラ老女、馴染みだった老女の死、不倫相手の妻の死、死期迫った老女。老女たちは必ずしも直接慰めていない。彼女ら自身が勝手に利他だと受け入れ、その情動に癒やされ、そして記憶として刻む。2023/03/12
starbro
631
町田 そのこ、5作目です。生き辛い現代、人生で逡巡する女性たちの物語短編集、オススメは『くろい穴』&『先を生くひと』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/351083/2023/03/01
さてさて
610
『頑張ろうとは、思ってる。このままじゃよくないって、自分が一番分かってる。でも、足が動かない』。人は長い人生の中で、誰にだって、どうしても前に進むことのできない時間を過ごすことがあると思います。そんな時に、”道しるべ”となってくれる存在は何よりも大切です。この作品では、そんな存在が誰にだっていることを教えてくれました。あなたは再び前を向くことができる。そして、再び力強く歩き出すことができる。五つの短編が、そんな風に優しく教えてくれるこの作品。町田そのこさんのあたたかい眼差しに包まれる素晴らしい作品でした。2023/02/25
うっちー
516
女性が全て主人公ですが、還暦すぎた男性でも、面白かったです2023/03/17