内容説明
あの烈しい愛はどこにいってしまったの…。大正期、詩集『霊魂の秋』により一世を風靡しながら、人生への強い不安と厭世観にとらわれ、瀬戸内の海に身を投げた詩人・生田春月と、年上の妻・花世の、愛憎に彩られた15年の日々…女にとって“結婚”の意味を問う力作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
2
春月の自殺は何ゆえであったか。「女性関係で死ぬのではない。謂はゞ文学者としての終りを完うせんがために死ぬやうなものだ」と言っているが、やはり自殺者の真意は解り兼ねる。妻の歌世との馴れ初めはよく解ったが、しかしながら現在では、あり得ないような出会いと結婚だ。 事実は内縁関係のようだが、所詮は文壇にありがちな女性問題を抱えての諍いが不和の原因。しかし、この忘れ去られた作家の本と巡り合うのは、まず稀なこと。 古書店で見つけて即買いしたが、新潮の本でありながら文庫化されていないのが残念だ。2016/08/15