出版社内容情報
娘も妻も職も。全てを失った男は雨の夜、自殺志願の女と出会う。それが「奇蹟」の始まりだった。展開予測ほぼ不能、極上娯楽超大作!
理屈も倫理も因果も呑み込む。この書は、「ヒトでなし」の「ヒトでなし」による「ヒトでなし」のための経典である――。娘を亡くし、職も失い、妻にも捨てられた。俺は、ヒトでなしなんだそうだ――。そう呟く男のもとに、一人また一人と破綻者たちが吸い寄せられる。金も、暴力も、死も、罪も――。犯罪小説であり思弁小説であり宗教小説であり諧謔小説であり、そしてなにより前代未聞のエンターテインメント小説!
内容説明
娘を亡くし、職も失い、妻にも捨てられた。家も、ない。俺は、ヒトでなしなんだそうだ―。そう呟く男のもとに、破綻者たちが吸い寄せられる。金も、暴力も、死も、罪も。求めているものは、赦しなのか?施しなのか?救いなのか?それとも―。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年北海道生まれ。1994年『姑獲鳥の夏』でデビュー。1996年『魍魎の匣』で第四九回日本推理作家協会賞長篇部門を受賞。1997年『嗤う伊右衛門』で第二五回泉鏡花賞を受賞。2000年第八回桑沢賞を受賞。2003年『覘き小平次』で第十六回山本周五郎賞を受賞。2004年『後巷説百物語』で第百三十回直木三十五賞を受賞。2011年『西巷説百物語』で第二十四回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
159
京極夏彦はコンスタントに読んでいる作家です。その著者の新シリーズ、楽しみにしていました。最初は連作集なのかと思っていましたが、堂々とした長編でした。著者しか書かない(書けない?)京極夏彦ワールドが炸裂しています!今後シリーズがどう展開して行くか大いに期待しますが、本作の主人公はキャラが弱いような気がします。最近、『ヒトでなし』という言葉は死語になっているのかなぁ、あんまり聞きませんネ(笑)2015/11/27
青蓮
139
読んで解った、「ヒトでなし」ってそう言う意味なのね。読んでると色々とはっとさせられる事が多いんだけど、冷静に考えれば至極当たり前のことしか書いてないのよね。でもその当たり前の事が見えなくなっている私……でも皆そうなのかな?なかなか尾田のような心境までは至りません。物語としては、起伏が少なくてちょっと退屈な所もあったけれど、後半は楽しめました。新シリーズって帯に書いてあるので続編がある模様。続きが楽しみです。2016/01/08
勇波
124
主人公のセリフ一つ一つが胸に突き刺さる。それって自分の事?と思わせられ、正直色んな意味でキツかった。ただオダ氏は最後までブレない。『ヒトでなし』からはずれない。最後はクズの孫以外から憑き物が落ちてたね。作中『鉄鼠』でお馴染み「悟りは受け流せ」の会話には思わずニヤリ。。知ってるぞ。なんにせよ新年早々読む物語ではなかったな(笑)★2016/01/11
紅はこべ
116
どうも最近の京極作品は陰々滅々しているな。京極堂シリーズなら、話は暗くても、事件はもっと凄惨でも、キャラに華があったけど、本作はキャラも暗くて地味。最初荻野や塚本が鬱陶しいと感じたけど、ラストには主人公の尾田が一番うざいと思った。誰か一人でもいい、彼にあんたはヒトでなしじゃないって言ってやればよかったんだよ。伊坂の後で京極夏彦を読むと落ち込むね。爽快感はない。2016/04/04
優希
100
禅問答を聞いているような感じでした。自らをヒトでなしと称し、その思いをグタグタ語っていると言ってもいいかもしれません。それでも死体が出るなど物語的には動きがあるので、主人公の考えと共に事件が並走しているのではないかと思いました。ある意味で宗教観のようなものを見ているような気になります。生きることは矛盾だらけで、ヒトであるかないか考えることもあるでしょうけれど、結局はどっちだろうと生きていることには変わりない、そんなことをぼんやりと心に思い浮かべました。2017/07/05