出版社内容情報
母が死んだ。秘密の日記と謎の青年を残して――。妻と母の役目を終えた女が人生の最後に望んだものとは。家族の意味を問う感動作。
内容説明
母のような女にだけは、なりたくなかった。「理想の妻」としての人生を全うした母。正反対の生き方を選んだ娘。幸せを手にしたのは、はたして―。『主婦病』で絶大な支持を得た著者が描く、「家族」の呪縛を解き放つ感動作。
著者等紹介
森美樹[モリミキ]
1970(昭和45)年、埼玉県生れ。1995(平成7)年、少女小説家としてデビュー。その後5年間の休筆期間を経て、2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R‐18文学賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayuri
78
「やわらかい棘」「砂の日々」「花園」「家族のきずな」4話収録の連作短編集。文中からは終始、陰鬱な空気が漂う。絵に描いたような良妻賢母だった母の突然死。死因も他殺か自殺か事故死なのかはっきりしない。読み進むに連れ、ミステリー色が濃くなり、その死因が明らかになるのと比例する様に、タイトルの『母親病』が浮き彫りになって行く。円満だったはずの両親の秘密には驚きを隠せない。母親である前に一人の人間であり一人の女性である事を思い知らされる。心の奥に潜む欠落をその性を貪る事で生を感じる。完璧な母親なんてどこにもいない。2021/08/27
おうち時間
61
母の日にちょうど良いと思って読んでみたけど、思っていた内容とはかなり違ったお話でした。母の様な女にはなりたくなかった珠美子は疎遠になっていた母園恵が自宅で亡くなったと連絡を受ける。自殺か事件か?母の残した日記を読み、両親の秘密、更には雪仁との関係を知る。園恵66歳。雪仁25歳。前に読んだ『疼く人』を思い出さずにはいられない。夫の死後、娘とも疎遠だった為に孤独を感じていたのか?雪仁もまた母親に捨てられたトラウマから離れられなかったからなのか?園恵が亡くなり雪仁と暮らす事を選んだ珠美子は何を思っているのだろう2022/05/08
mincharos
35
んーー、ちょっと前に「疼くひと」を読んで、こちらは70歳女性の性愛小説だったけど、こちらは66歳女性と25歳!!とは言え連作短編で、それぞれの章で語り手が代わり、物語の中には2組の母娘が出てくる。サブ的な母娘の娘が母親に放った一言「だってお母さん、私を産んでからセックスしてないでしょう!?」にちょっとひるむ。認知症になった夫に、若いヘルパー(女性)に排泄物処理を頼むついでに、性的サービスも頼む妻。記憶や他の大事なことが欠落してしまって、最後に残るのは性欲のみって本当?文章がなんだか合わなかった感じで残念。2021/09/29
のり
32
タイトルから、育児ノイローゼ気味の母親の話かと思っていたら、全然方向性の違う話でビックリ。良い意味で裏切られた。母親というよりは死ぬまで女を捨てきれないタイプの女を中心に、ミステリ的要素も加わりながら話が進んでいく。夫や娘、介護に関わる人たちとの関係性も面白く、老いと性もテーマになっていて、なかなか飽きさせない展開。性的描写も多いな、と思ったらR18文学賞読者賞出身の作家さんだった。2021/08/16
がらくたどん
25
不倫中の娘が受け取った母園枝の訃報。怪しい死因・怪しい男出入り・怪しい日記。結婚以来ずっと「専業主婦」道を究めてきた母に何があったのか?還暦もだいぶ過ぎて、ようやく染みついたジェンダーロールからの脱却を模索する園枝さん。思いつくのは綺麗に死ぬか、老いらくの恋か。老いた女性と見目好い若者というと想起するのは「六条の御息所」。御息所も類まれな教養を持ちながらそこには価値を見出せなかった。園枝さんは現代人なので生霊にはならなかったが平安以来の選択肢の少なさにほぼ同年代として愕然とする。私の選択肢は幾つあるかな?2021/08/02
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