出版社内容情報
手を繋ごう。この戦争を逃れて、私たちは生きる。生き延びる――。寄宿舎で暮らす少女の密やかな闘いと連帯を描く、鮮烈な青春小説。
内容説明
外界から隔絶された学園で寮生活を送る少女たちの間で流行する、「森を作る」という遊び。誰もが森を持つ中、揺は一人だけ森を作ることができない。思い悩む揺だったが、激化する戦争の影が学園にも忍び寄る。一方、目的を持って森を観察してきたある生徒は、秘密の計画を進めていた。少女たちの魂が共鳴する時、奇跡が起きる―。
著者等紹介
雛倉さりえ[ヒナクラサリエ]
1995年生まれ。16歳の時に執筆した短編「ジェリー・フィッシュ」が、第11回「女による女のためのR‐18文学賞」の最終候補に選ばれる。同作は金子修介監督により映画化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
24
★★☆☆☆百合小説。戦争で首都を離ればらばらの学校から再編成され〈臨時校舎〉に送られてきた百人の少女たち。彼女らは生活の場の片隅に森を作る。なにこれ?ナルニア国に至るタンスの中の森みたいなもん?まあいいけど、こういう話に合理性や統一性を求めてもしょうがない。ラストに文化祭があるけど、世の中から隔絶された学校で文化祭やって誰が観客になるの?最後の森の爆発は覚醒剤でもやっているかのようなラリパッパ。語彙の選択に癖が強くて鼻につく2022/08/23
信兵衛
23
ひとりひとりがバラバラでは何もできませんが、お互いに手を取り合い、助け合えば、何か希望が開けるのかもしれない。そんな希望を感じさせるストーリィ。2022/06/17
ハルト
10
読了:◎ はぜ萌える森と少女たち。戦時中、「臨時校舎」という名の柔らかな牢獄に暮らす少女たちは、酒、烟、セックスに耽溺する。見たくない現実に抗うかのように。▼少女たちは原始の森に還り、傷を癒し、本来の自分へと変容していく。▼森の清々しい空気感と、絡み合う少女たちの華奢な手足の淫らさ。彼女たちは聖も俗もあわせ持つ、ひとときの存在。そんな少女たちの傷つきやすい繊細さ。森をひらいたその先には、少女が少女のままでいられる楽園があるのか。▼森と女でデュラスを思い起こした。森に呑まれるような最後が圧巻だった。2022/07/04
を
4
輪郭線をやたらと強調した抽象画とか、装飾過多の剥製みたいなイメージ2023/02/06
Kaoru
3
世界観が微ファンタジーで面白かった。甘美で退廃的なイメージのある小説で、甘い恋愛小説よりかは好みだった。2023/01/25