出版社内容情報
東北を旅行中、被災した私。南相馬市に逃れた私の耳に、原発事故を知らせる防災無線が飛び込んで来た――胸つまるルポルタージュ。
3月11日、恐ろしいほどの暗闇の中で25歳の小説家が見たものは。衝撃の手記。ひとりで東北を旅行中、私は常磐線の新地駅で被災した。命からがら津波を逃れ、見知らぬ人の家で夜を明かした次の日、原発事故を知らせる防災無線が飛び込んできた――情報も食べ物も東京へ帰るすべもないまま、死を覚悟して福島をさまよった五日間。若き女性作家があの日からの被災地をつぶさに見つめた胸つまるルポルタージュ。
内容説明
常磐線の車内で被災した25歳の女性作家。そこへ襲った津波、そして原発事故―。情報も食べ物も帰るすべもないまま、死を覚悟して被災地をさまよった5日間。「あの日」からの福島を描くノンフィクション。
目次
第1章 川と星
第2章 すぐそこにある彼方の町
第3章 再会
終わりに
著者等紹介
彩瀬まる[アヤセマル]
1986年千葉県千葉市生まれ。上智大学文学部卒業後、小売会社勤務を経て、2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞、デビュー。文芸誌などで次々に小説を発表、手触りのある生々しい筆致と豊かなイメージにあふれた作品世界で高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
204
旅先で東日本大震災に遭遇した作家のルポ。携帯に遺書を書き始めたほどの5日間の恐怖の体験。自宅に帰った後も心に傷跡を残した。その後、2度にわたり福島を訪問。ボランティア体験や友人との再会など『作家の目で見た被災地』ではなく、言葉を繰る能力を持った25歳の女性が、等身大で自身の体験を記したという筆致で共感を持てた。お礼でもらった野菜をどうするか悩む。支援しているはずの被災者の心配りに胸を衝かれる。極限でみせる優しさも、福島ナンバーの車に落書きする心ない行為も人間がする事。自分はどうなのか。心を磨いておきたい。2016/04/16
yoshida
195
旅行中に東日本大震災に被災した彩瀬まるさんのルポ。仙台から常磐線でいわき市に向かう途中の新地町で彩瀬さんは被災にあう。実際に目にした津波の惨状。そして情報が錯綜し、この世の終わりを感じた原発事故。彩瀬さんのルポは実体験であり、力がある。原発事故に目が行きがちだが、福島県の浜通りにも津波で亡くなった方はいる。そして震災当日から東電は原発の危機を知りながら、情報を出すことを遅らせていた。そこに保身と棄民を見る。あたかも満州における関東軍のように。美談だけでなく差別や強欲。人間の様々な面を描き好感が持てる内容。2019/09/29
おしゃべりメガネ
166
重い…、そして深いです。もちろん軽い、浅いだなんて思ってはいなかったですが、思っていた以上にシリアスでした。特に電力業界に勤務する自分としてはルポの中盤から記述されている福島原発の状況や東電さんの対応など、身につまる思いです。泊原発の話も出てきたりして、改めて震災の傷痕の深さを感じました。やはり作家さんが書くルポだからなのか、とても読みやすく、登場する被災された方々の心情がよく伝わります。印象的だったのは福島の方が他県に行った際に、車に'汚染車'とイタズラ書きされた件は切なく、怒りが収まらなかったです。2019/03/21
しいたけ
126
作家がページを埋める研ぎ澄まされた文章。クライマックスも、余談も、伏線も駆け引きもない、淡々としたハダカの文章。起承転結の結が書けることは、この先ずっとないのかもしれない。恐怖の夜と人の暖かさ。目をつぶれない自分の中の、恐れからくる小さな差別。物書きとして、身を削るようなこの本を、書いてくれたことに感謝したい。2018/03/10
fwhd8325
109
3.11で、実際に被災に遭った彩瀬さんの記録。3回に分けて書かれた記録です。電車の中で読んでいて、涙が止まらなくて参った。 私自身、3.11では、地震による恐怖、なかなか家に辿り着かない真夜中の街など、おそらくあの日を境に何かが変わったと思っています。そして、半年後に訪ねたいわき市の姿は、想像を超えたものだったことも目に焼き付いています。一方で、福島産に距離を感じ、時間とともに薄れていく感情があることも気づきます。手元に置き、定期的に読み、心にしっかりと刻みたいと思います。2016/05/15
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- 和書
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