出版社内容情報
累計100万部の大ベストセラー、待望の続編。亡くなった人との再会を一度だけ叶えてくれる使者「ツナグ」のあれから7年後とは――
内容説明
顔も知らない父親に、事故死した幼い娘に、片思いしていたあの人に、もしも会えるなら。一生に一度だけの死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年に亘って務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、会社員として働きながら依頼を受ける彼の元に、亡き人との面会を望む人々が訪れる。依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていて―。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞、2018年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
955
2011年「ツナグ」の続編。人間の生死を深く温かく考察する5つの切り口が異なる物語で綴る。人間が生きることは、究極それぞれ個人の意識でしか理解できない。一方、その意識は自己が生きている事実のみではなく、他者の死から受ける想いが不可欠で、それが尊いと表現する。全ての編では、近親者の死を機に、死者への想いを巡らせる。辻村さんが描写する死からの想いは、功利や名誉から全く切り離し、自発的に生じる利己を超える利他であった。強く胸を打った。主人公の「本当に嬉しい時、自分の好きな人にそれを見せたくなる」が印象に残った。2020/01/05
starbro
864
辻村 深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。先日読んだ『ツナグ』に続いて第二弾が11月中に読めました。パターン化していますが、各短編とも高いクオリティでした。オススメは、表題作の『想い人の心得』です。シリーズは継続、第三弾もありそうです。2019/11/22
パトラッシュ
838
このシリーズを読んでいると、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」を思い出す。とうに神様なんていないとわかる大人になって、夢をかなえてくれる奇蹟に出会った人びとの物語なのだ。憎んでいるから、愛しているから言葉を交わせず終った悔いが残るからこそ心にしまい忘れた大切な箱を開くと決めて、故人に逢うため<使者>に連絡を取る。知らなければよかった真実もあるが、少なくともここで綴られるのは知った者を優しい気持ちで目覚めさせるメッセージとなる。使者の仕事を重ねる歩美が愛を知り、悔いを残さないため告白を決意する姿が美しい。2021/11/18
zero1
819
余韻の深さは継続。続編でも質は下がらず。使者を引き継いだ歩美。大学卒業後の話。最初のエピソードで【代理】の杏奈が登場。小学生だが【秋山の家】で当主。何故、代理が必要だったかは前の巻を読んでいれば理解できる。他にも歴史上の人物に会いたい元校長。言葉の壁は乗り越えられる?娘と再会したい母親二人。想いの深さが伝わる。変化球は工房の主人。女は強い?最後に何度も断られたケース。依頼人だけ年齢を重ねる。依頼者だけでなく使者の悩みも描写されていて満足。流石は直木賞作家のスケールを超える実力者の辻村。三作目にツナグ?2020/03/25
ウッディ
782
亡くなった人ともう一度だけ逢いたい、そんな願いをかなえる使者(ツナグ)。想いを寄せる女性のために、使者と会うことになった男優が、自分と母を捨てた父と会い、後押しされる「プロポーズの心得」に勇気をもらい、水難事故と病気で娘を失った二人の母親が、娘との再会を果たす「母の心得」に涙が溢れました。他の3編も含めて、優しく切ない物語で、心が震えました。生者も死者もそれぞれ一度しか使えないというルールも、切ないです。続編でまた歩美に会いたい、そして、現実でも使者と繋がれれば良いのに・・。面白かったです。2020/07/19